Letter 神経:ニコチン受容体の部位限定的発現によって回復するニコチン強化と認知 2005年7月7日 Nature 436, 7047 doi: 10.1038/nature03694 全世界で今世紀中に1億人がニコチン嗜癖で死亡すると予想されている一方、ニコチンは認知能力を高めるともいわれている。ニコチン強化と認知にかかわる分子機構を特定することは重要だが、新たなin vivo実験のパラダイムの開発が必要とされる。中脳の腹側被蓋野(VTA)は、多くの乱用薬物の強化性に関与すると考えられている部位である。今回、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)のβ2サブユニットを、β2サブユニットを欠失しているマウスのVTAに、レンチウィルスベクターを定位的に注入して部位特異的に再発現させた。その結果、電気生理学的に応答しリガンド結合能をもつnAChRが、VTAのドーパミン含有ニューロンに効率的に再発現し、同時にニコチン誘発性のドーパミン放出とニコチンの自己投与現象が回復した。マウスの探索行動を定量すると、β2サブユニットの再発現によって緩徐な探索行動(認知機能の一指標)が野生レベルまで回復したが、定位行動には影響がないことがわかった。したがって、ニコチン強化と認知機能の内在的なコリン性調節の両者に、VTAが十分な役割を持つことが示された。 Full Text PDF 目次へ戻る