Letter 細胞:MMP-3が誘導するEMTとゲノム不安定性には、Rac1bと活性酸素種が関係する 2005年7月7日 Nature 436, 7047 doi: 10.1038/nature03688 腫瘍の微小環境は, 癌の進行を促したり休眠中の癌細胞を活性化するだけでなく、癌の形成をも刺激することにより、強力な発癌作用をもつ可能性がある。我々はこれまでに、多くの乳癌で上方制御されている間質の酵素ストロメライシン-1/マトリックスメタロプロテイナーゼ-3(MMP-3)について調べ、MMP-3が培養細胞では上皮-間充織転換(EMT)や悪性転換、トランスジェニックマウスではゲノム不安定性をもつ乳癌を引き起こすことを見出した。本論文では、MMP-3のこのような作用にかかわる分子経路を解明した。マウスの乳房上皮細胞をMMP-3に曝露すると、異なるスプライシングを受けたRac1の発現が誘導され、これが細胞中の活性酸素種(ROS)を増加させる。このROSが転写因子Snailの発現およびEMTを促進し、DNAの酸化的損傷を引き起こしてゲノムの不安定性をもたらす。乳癌の微小環境成分が培養細胞の構造を変化させ、in vivoでは組織構造を変化させ、悪性転換を引き起こす、これまで報告されていなかった経路が今回突き止められた。 Full Text PDF 目次へ戻る