Letter 進化:コカミアリは雄雌ともにクローン生殖をする 2005年6月30日 Nature 435, 7046 doi: 10.1038/nature03705 有性生殖は雌雄間やゲノム内に大きな利害の対立をもたらすことがある。本論文では、こうした利害対立の極端な事例が、コカミアリ(Wasmannia auropunctata)で見られることを報告する。我々は、生殖能力のないワーカー(働きアリ)は通常の有性生殖によって生まれるが、娘の女王アリは常にクローンとして生まれることを発見した。アリその他の半倍数性種では雄は通常、母親の産んだ未受精卵から発生するため、こうした雄は普通、二倍体で雌となる子を通じてしか適応度を直接確保することができない。したがって女王のクローン生殖は、生殖能力をもつ娘に対する女王の血縁度を高めることにはなるが、雄の繁殖成功度をゼロに下げてしまいかねない。遺伝解析から、この雌雄間の利害対立への見かけの対応として、雄もクローンとして生まれることがわかった。これはおそらく、二倍体の卵のゲノムのうち母方由来の半分を排除することによっていると考えられる。結果として、すべての息子は父親のものとまったく同じ核内ゲノムをもつことになる。雄と女王がそれぞれ同一の性の個体から絶対的なクローン生殖で増えると、雄と雌の遺伝子プールは完全に分離した状態となる。これらの知見は、特異な遺伝機構や新型の性的対立が進化する背景に半倍数性の性決定機構があることを示すものだ。 Full Text PDF 目次へ戻る