Letter

物理:固体重水素における対称性の破れた相への転移の中性子線回折とX線回折による研究

Nature 435, 7046 doi: 10.1038/nature03699

固体水素化合物であるD2、HD、H2は、100 GPa付近の圧力まで量子的分子固体のままである。圧力によって対称性の破れた相への転移が誘起されるが、これは巨視的な注目すべき帰結であり、この相転移では分子は等方的な回転状態から非等方的な回転状態へ移行する。対称性の破れた相の構造は、多数の研究にもかかわらず、理論的解明にはまだ異論が残っている。未解決の問題の一部は長距離または短距離の配向秩序の有無にかかわるもので、すなわち転移圧力が同位体によって大きく変わることは、原子核の零点運動と量子局在現象のどちらに帰せられるのか、また相の構造は立方晶系、六方晶系、斜方晶系のいずれかという問題である。今回我々は、固体D2の対称性の破れた相の構造について、中性子線回折とX線回折を組み合わせて得られた60 GPaまでの実験結果を報告する。今回のデータは、最近の理論研究から予測される斜方晶系の構造とは相容れない。対称性の破れた相の構造は局所的な配向秩序とは不相応で、むしろ準安定な立方晶系パラD2の構造に似ていることがわかった。

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