Letter 生理:大腸菌は右側を泳ぐ 2005年6月30日 Nature 435, 7046 doi: 10.1038/nature03660 全身一様に鞭毛のある(周毛性)細菌の表面近くでの運動は、バイオフィルム形成や病原性感染の初期段階の解明にかかわってくる。この運動は、自由に動ける溶液中で細胞が示すランダムウォークの軌跡とはちがっている。個々の大腸菌細胞は、平らなガラス表面近くを、時計回りに円を描くように泳ぐ。半固体の寒天培地上では細胞は分化し、長く伸びて鞭毛が過剰に生えた表現型をとり、複数の細胞が協力しながら表面上を移動する。この移動現象をスウォーミング(swarming)と呼ぶ。我々は、スウォーミング中の大腸菌の単離した細胞が、酸化ポリジメチルシロキサン(PDMS)の浅いマイクロチャネル中に閉じ込められて寒天培地上を移動するようすを観察する技術を開発した。マイクロチャネル中に閉じこめたこれらの細胞は「右側通行」を選び、寒天を下にして移動中の細胞の後ろ側から見た場合、マイクロチャネルの右の壁に沿って泳ぐことがわかった。細胞は、寒天ゲルとPDMSという 2つの界面にはさまれるとPDMS表面よりも寒天表面に近い側を泳ぐため(泳ぐ時間もはるかに長い)、マイクロチャネルの右側を選んで動くことになるのだと考えられる。つまり、物質の選択がマイクロチャネル中での細胞の移動を導いているのだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る