Letter

生態:微生物食物網に見られるカオスの実験的証明

Nature 435, 7046 doi: 10.1038/nature03627

自然個体群の密度に時間変化や地域差がある理由を見つけ出すことは、生態研究や進化研究の主要な目標の1つである。単純な生態系であってもカオス的挙動をとりうることがわかってきて、理論生態学ではカオスが注目を集めている。しかし、多数種からなる系に個体群が共存する現実世界において、カオス的挙動が起こることを実験的に示した証拠はまだない。今回我々は、細菌食性の繊毛虫類1種と被食者の細菌2種からなる限定された捕食者−被食者系の動態を調べた。この繊毛虫類が好む細菌種は、競争で優勢なほうの細菌だった。実験条件は、1ステージ・ケモスタットによる連続培養で一定に保った。このような被食者2種と捕食者1種の系がとる動的ふるまいには、安定なリミットサイクルや平衡状態での共存だけでなく、カオス的挙動も含まれることがわかった。この個体群動態における変化は、ケモスタットの希釈率の変化によって引き起こされた。観察された動態は、対応するリアプノフ指数の算定により裏づけられた。このような限定された微生物食物網は、現実の生物系に見られる決定論的カオスの実験研究に新たな可能性をもたらすものだ。

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