Letter 進化:絶滅哺乳類に毒分泌器官があったことを示す初めての証拠 2005年6月23日 Nature 435, 7045 doi: 10.1038/nature03646 哺乳類以外の多数の脊椎動物は、獲物を確実に捕獲する一方法として、また捕食者からの防御法として致死性の毒液を進化させてきた。しかし、こうした方法で毒液を使う現生哺乳類は、カモノハシ類(Ornithorhynchus)やカリブ産のソレノドン類(Solenodonn)、少数のトガリネズミ類(Soricidae)(後者2群は食虫目)のみで数は非常に少ない。今回我々は、カナダのアルバータ州にある暁新世後期の岩で見つかった保存状態の良好な複数の化石標本から、絶滅哺乳類の毒分泌器官の証拠を得たので報告する。これらの哺乳類は真獣類に分類されるものの、系統発生的には現生食虫類から遠く離れた位置関係にあり、唾液による毒分泌機構(VDS)として特殊化した歯を進化させた。これらのVDSは標本群どうしで互いに明らかに違っており、ソレノドンやトガリネズミとも大きく違っている。したがって我々の発見は、哺乳類のVDSの進化は従来考えられていたよりもはるかに弾力的であったことを示しており、有毒な唾液は哺乳類進化史において限られた役割しか果たさず、現生食虫類がその代表例だとする現行の見方を否定するものだ。小型の肉食性真獣類はどうやら、ナミヘビ類と比肩するくらいに、有毒な唾液やその分泌機構を独立に何度か進化させたとみられる。 Full Text PDF 目次へ戻る