Letter 細胞:幹細胞の分裂はマイクロRNA経路により制御される 2005年6月16日 Nature 435, 7044 doi: 10.1038/nature03816 幹細胞の重要な性質の一つは、ほとんどの細胞が分裂を休止しているような環境内で長期間にわたって分裂を繰り返す能力である。そこで、幹細胞が細胞分裂停止のシグナルを回避する機構は、幹細胞の生物学的性質における重大な問題となっている。本論文では、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の生殖系列幹細胞(GSC)の分裂の適切な制御にマイクロRNA (miRNA)のかかわる経路が必要であることを報告する。miRNAの生成に必須の二本鎖RNアーゼIIIであるdicer-1 (dcr-1)に変異が生じたGSCを調べたところ、生殖細胞のシスト形成が著しく低下していることがわかった。このdcr-1変異型GSCの細胞的特徴は正常だったが、細胞周期の制御に欠陥があった。細胞周期マーカーと遺伝学的相互作用から、dcr-1変異型GSCではG1期からS期への移行が遅れていると結論されたが、この遅れはサイクリン依存性キナーゼの阻害因子Dacapoに依存しており、miRNAは幹細胞が正常なG1/Sチェックポイントを回避するのに必要であると考えられる。したがってmiRNA経路は、本来なら細胞周期のG1/Sの移行を停止させるような環境内シグナルを幹細胞が感知しないようにさせる機構の一部となっている可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る