Letter 細胞:腫瘍の生着を促す特殊化した骨髄内皮マイクロドメインのin vivo画像観察 2005年6月16日 Nature 435, 7044 doi: 10.1038/nature03703 細胞内ニッチの形成は、正常幹細胞の分化および再生の調節に重要な役割を果たすことが知られているが、悪性腫瘍の転移を促す微小環境の構造については不明な点が多い。今回我々は、動的なin vivo共焦点画像法により、マウスの骨髄内に特殊化した内皮を特徴とする独特な解剖学的領域が含まれることを示す。この血管系では、接着分子E-セレクチンと化学誘引物質であるストロマ細胞由来因子1(SDF-1)が散在する不連続領域に発現しており、これがさまざまな腫瘍細胞株のホーミングに影響を及ぼす。SDF-1とその受容体CXCR4間の相互作用を阻害すると、これらの血管への急性リンパ芽球性白血病細胞系列のNalm-6細胞のホーミングが抑制される。さらなる研究により、循環白血病細胞が、この血管の周囲に生着可能なことが明らかになり、分子レベルで明瞭な特徴をもつこの血管系が、初期転移性腫瘍が骨髄内で広がることができる微小環境の範囲を決めていることが示唆される。また精製した造血幹細胞/前駆細胞およびリンパ球も同じマイクロドメインに局在したことから、良性状態でもこの血管系が、骨髄腔への細胞の侵入路となる特殊な入り口を示す働きをしている可能性があることもわかる。したがって、特殊化した血管系の構造は独特な生理学的性質を有する微小環境の輪郭を示しているようであり、これを循環している悪性細胞が利用している可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る