Letter 生化学:HET-sプリオンの構造要素と感染性の関係 2005年6月9日 Nature 435, 7043 doi: 10.1038/nature03793 プリオンは、宿主がもつ本来は可溶性のタンパク質から作られる感染性で自己増殖性の重合体と考えられている。この説は最近、酵母や子嚢菌の一種であるPodospora anserina、哺乳類の組換えプリオンタンパク質が作るアミロイド原繊維が、それぞれの宿主にプリオン表現型をとらせることから広く支持されている。しかし、プリオンの感染性の構造基盤はほとんど解明されていない。その理由は、アミロイド原繊維の構造を原子レベルの分解能で解明することが、ほとんど解決不可能なほどの技術的難問だからである。P. anserinaのプリオンタンパク質HET-sには、残基218-289からなるカルボキシ末端プリオンドメインが含まれる。プリオンの感染性の誘導と伝播には、HET-s(218-289)が作るアミロイド原繊維が必要であり、これだけで十分である。今回我々は、蛍光測定とquenched hydrogen exchange NMR、固体NMRを使って、HET-s(218-289)のアミロイド原繊維の二次構造要素の配列特異的な配置を明らかにした。この方法で、2個の偽反復配列でできた4つのβストランドが、それぞれβストランド・ターン・βストランドモチーフを作っていることが明らかになった。構造に基づいた変異導入を行い、このコンホメーションがHET-sプリオンの機能と感染性の実体であることが判明した。これらの結果は、独特な構造要素とプリオンの感染性との相関を示すものである。 Full Text PDF 目次へ戻る