Letter 気候:北極の淡水が引き起こしたヤンガードライアス期の寒冷反転 2005年6月2日 Nature 435, 7042 doi: 10.1038/nature03617 最終退氷期は、1000年スケールの氷期状態への反転、すなわちヤンガードライアス寒冷イベントによって突然中断した。この寒冷期は、表層水が淡水化されたことによる北大西洋深層水の形成速度の減少と、その結果起こった子午面循環の弱化に関係があるとされてきた。一方で、早い時期の淡水の流入(融解水パルス 1a)はその淡水の起源については異論があるが、子午面循環の弱化を引き起こさなかったらしい。本論文では、退氷期に影響を及ぼした淡水の流出地点を特定するため、北米氷床の流出年代のアンサンブルシミュレーションを分析した。修正氷床システムモデルを使ったシミュレーションによると、北米氷床からは融解水パルス 1aの淡水の約半分が得られた。ヤンガードライアス期の開始時期に、融解水と氷山が合わさった最大規模の淡水が北極海へ流出したことがわかった。北極海からの流出口は、フラム海峡を経由して、現在北大西洋深層水が形成されている場所であるグリーンランド-アイスランド-ノルウェー海へ出るものだけであったことを考慮すると、ヤンガードライアス期の寒冷反転のきっかけとなったのは、この北極の淡水フラックスであったと我々は考える。 Full Text PDF 目次へ戻る