Letter 癌:固形癌の退縮を引き起こすBcl-2ファミリータンパク質阻害剤 2005年6月2日 Nature 435, 7042 doi: 10.1038/nature03579 Bcl-2ファミリータンパク質は、プログラム死制御の中心的役割を担っている。なかでもアポトーシスを阻害するタンパク質であるBcl-XLやBcl-2は多くの癌で過剰発現しており、癌の発生や進行、そして治療に対する耐性に寄与している。Bcl-XLの発現は腫瘍細胞株の化学物質に対する耐性と相関があり、またBcl-2の減少は抗癌剤感受性を亢進させ、in vivoでの生存を促進する。これらのタンパク質に対する阻害剤の開発は癌治療薬の候補として以前から研究されていたが、タンパク質間相互作用を標的とする必要があるために、強力な低分子阻害剤を得ることは困難であった。我々は核磁気共鳴(NMR)に基づいたスクリーニング、パラレル合成、および構造をベースとした設計を用いて、ABT-737を発見した。この分子は、抗アポトーシスタンパク質のBcl-2、Bcl-XL、Bcl-wの低分子阻害剤であり、その親和性は以前に報告されていた化合物よりも2、3桁高い。反応機構の研究から、ABT-737は直接的にアポトーシス過程を引き起こすのではなく、アポトーシスのシグナルの効果を増強して、化学療法剤や放射線と相乗的な細胞毒性を示すことが明らかになった。ABT-737は単独投与でリンパ腫および小細胞肺癌細胞株、そして患者由来の初代培養細胞を殺した。またマウスモデルでは、ABT-737は生存率を向上させ、移植された癌の退縮を引き起こし、高い率で治癒が認められた。 Full Text PDF 目次へ戻る