Letter

生化学:III型分泌装置の分子プラットフォームの構造的特徴

Nature 435, 7042 doi: 10.1038/nature03554

III型分泌装置(TTSS)は複数のタンパク質からなる巨大な分子「機械」で、細菌タンパク質(エフェクターとよばれる)を真核細胞の細胞質へと直接に分泌・注入する役割を担っており、多くの病原性グラム陰性菌の毒性に重要な働きをしている。この分泌装置を構成する20種類の独特な構造成分のほとんどは、動植物両方の病原菌で非常によく保存されており、また進化の面からみると、鞭毛に固有の輸送装置のタンパク質とも関連がある。最近の電子顕微鏡観察実験によって、TTSSの「ニードル様」の形態の概略像は明らかになったが、構造の特徴や細菌の膜内でのタンパク質成分の配置について、まだ詳しい解明はされていない。今回、病原性大腸菌(EPEC)由来のEscJの1.8Åでの結晶構造について報告する。このEscJはYscJ/PrgKファミリーに属し、そのオリゴマー形成はTTSSの集合過程の中で最も早い時期に起こる現象の1つである。結晶内分子間相互作用の解析と分子モデリングからは、EscJは、24個のサブユニットからなり、長く伸びた溝、隆起、静電的性質をもつ大型の「環状」構造をとるだろうと考えられる。ネズミチフス菌のオーソロガスPrgKについて、組み立てられたTTSS中で電子顕微鏡観察や標識実験、質量分析を行ったところ、モデルとして考えられた環状構造の化学量論的性質、膜との結合、表面への接近性を裏付ける結果が得られた。我々は、このYscJ/PrgKタンパク質ファミリーがTTSSの集合に不可欠な分子プラットフォームとして働くと考える。

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