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物理:高Tc超伝導体の結晶粒界における電流輸送の増大

Nature 435, 7041 doi: 10.1038/nature03644

高転移温度(高Tc)超伝導体を超伝導ケーブル用材料などへ大規模に応用する際に実用上、唯一の選択肢となる多結晶材料は、単結晶より著しく低い密度の電流しか流せないことが障害となる。結晶粒界を通る超伝導臨界電流密度(Jc)は、結晶粒界角度が2°〜7°以上になると、指数関数的に低下する。結晶粒を集合組織化すれば、平均の結晶粒界角度は小さくなるが、問題は依然として解決しない。(YBa2Cu3O7-δ;YBCOへのCaのような)不純物を添加すると、Jcは増大するが、これは一般にY3+と置換するCa2+によって発生する過剰な正孔が原因と考えられている。しかし、結晶粒界とCaドーピングが果たす役割を包括的に説明する物理モデルはまだない。本論文では、原子スケールの理論計算、電子顕微鏡像観察、そして分光測定によって、多結晶YBCOでは、強く歪んだ結晶粒界領域が過剰なO空格子点を含み、そのため局所的に正孔濃度が低下していることを示す。Ca不純物は実際にYと置換するが、圧縮や引張を受けている結晶粒界領域ではCaはBaやCuとも置換し、その結果、歪が解放されてO空格子点形成が抑制される。以上の結果から、Jcが増大するには、イオンの原子価よりもイオン半径が重要であることが実証された。

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