Letter 地球:海洋無酸素事件の際の二酸化炭素変動はゴンドワナ大陸石炭への貫入と関連づけられる 2005年5月26日 Nature 435, 7041 doi: 10.1038/nature03618 海底堆積物の記録から、「海洋無酸素事件(OAE)」として知られる大量の有機炭素の埋没が複数回起こったことを示す証拠が得られている。OAEの特徴として、海洋および陸上の貯蔵庫における炭素同位体比の偏位や、海洋動物相の大量絶滅があげられる。OAE中に有機炭素埋没量の増加を招いた仕組みについてはまだ議論の途上にあるが、こうした出来事によって大気中二酸化炭素が相当量低下したはずだと考えられている。トアルシアン期のOAE(およそ1億8300万年前)の場合、海洋および陸上の貯蔵庫における炭素同位体比の一時的な負の偏位は、海洋ガスハイドレートもしくはマグマの貫入を受けた有機物に富む岩石のどちらかから極めて大きな規模で急激に放出されたメタンの酸化によって、大気中二酸化炭素量の上昇が起こったことを意味すると解釈されてきた。今回我々は、化石の葉の気孔密度から得られる高精度の大気二酸化炭素記録を用いて、トアルシアン期OAEの開始を記す炭素同位体比の負の偏位について主要な上記2仮説を検証した。そして、炭素同位体比の負の偏位と時を同じくして、二酸化炭素はまず350±100 p.p.m.v.低下し、その後急に1,200±400 p.p.m.v上昇したことを見出した。これはそれぞれ、地球全体でみて気温が2.5±0.1℃低下し、温室効果により6.5±1℃上昇したことに相当する。この二酸化炭素変動のパターンと規模は、ハイドレート由来の同位体的に軽いメタンが急激に大規模投入されたことが、負の同位体比変動の原因だとする説と両立しがたい。我々の得た二酸化炭素記録はマグマ貫入説のほうに有利な裏づけとなり、また、熱分解起源メタンの放出に由来する同位体的に軽い炭素の注入は、トアルシアン期のカルー-フェラー・ドレライト岩床によるゴンドワナ大陸石炭への貫入によって起こったと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る