Letter 生化学:ヒトγ-チューブリン結晶構造から微小管核形成機構を考察する 2005年5月26日 Nature 435, 7041 doi: 10.1038/nature03586 微小管はαβ-チューブリンからなる中空の多量体である。微小管は真核細胞の細胞骨格の重要な構成成分で、その集合動態はGTPに依存している。in vivoでは、新しい微小管の形成開始にはγ-チューブリンが必要である。γ-チューブリンは、高等真核生物の分子量2.2-MDaのγ-チューブリン環複合体(γ-TuRC)中ではオリゴマーを形成している。γ-チューブリン、そのオリゴマー形成、またそれが微小管集合を促進する仕組みについて、構造面からの考察はまだなされていない。本論文では、GTP-γS(非加水分解型GTPアナログ)に結合したヒトγ-チューブリンの分解能2.7Åでの結晶構造について報告する。γ-チューブリン-GTPγSは、多量体を形成していないGDP結合型αβ-チューブリンで見られるのと似た、「湾曲した」コンホメーションを取っていることがわかった。チューブリン類はGTP結合タンパク質の中ではっきり分かれたグループを作っており、γ-チューブリンで見られるコンホメーション切り換えは、シグナル伝達にかかわるGTPアーゼでヌクレオチドに依存して起こる切り換えとは異なる可能性がある。結晶内の分子間相互作用は、微小管中で見られるα-チューブリンとβ-チューブリンの側面間接触とそっくりで、この分子間相互作用がおそらくγ-TuRC中でのγ-チューブリンのオリゴマー形成の基盤となっているのだろう。γ-TuRC内で側面間結合しているγ-チューブリンは鋳型として働いて、αβ-チューブリン・ヘテロダイマー間の本来的に弱い側面間相互作用を強めることで、微小管核形成を推進しているのかもしれない。αβ-チューブリンは二量体なので、湾曲型のコンホメーションをとると微小管のような側面間結合を形成できない。結晶中で今回観察されたγ-チューブリンの作る側面間結合による配列は、単量体チューブリンに独自の機能的性質を明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る