Letter 生化学:ビンブラスチンによるチューブリン制御の構造的基礎 2005年5月26日 Nature 435, 7041 doi: 10.1038/nature03566 チューブリンを標的とするビンカアルカロイドのいくつかは、抗腫瘍剤として臨床に導入されて以来、成功を収めた多数の化学療法薬を生み出してきた。ビンブラスチンは、ビンカアルカロイドの1つである。チューブリンに結合する小型分子のうちの他の2種類(タキソールとコルヒチン)とは対照的に、ビンブラスチンの結合部位についてはほとんどわかっておらず、この薬剤の分子レベルでの作用機作も不明のままである。本論文では、RB3タンパク質のスタスミン様ドメイン(RB3-SLD)と複合体を形成しているチューブリンに結合したビンブラスチンのX線結晶構造について報告する。ビンブラスチンは、2つのチューブリン分子の接触面に楔を打ち込むような形で入り込み、これによってチューブリンの集合を妨害している。この結晶構造、また電子顕微鏡観察結果と生化学的データから、ビンブラスチンが存在するとチューブリンが自己集合してらせん状の凝集体を作るようになり、そのため微小管の伸長が起こらなくなると考えられる。結晶構造からはまた、ビンブラスチンとRB3-SLD結合部位のアミノ末端側領域が、微小管のチューブリン分子間接触面に存在するα-チューブリン表面上の疎水性の溝を共有していることがわかる。この部分は、微小管を作るチューブリンの分子間接触を妨げて微小管の動態を擾乱するように設計された薬剤のよい標的となる。チューブリンは自己会合を起こしやすい性質を持つため、薬剤標的として理想的と思われる。 Full Text PDF 目次へ戻る