Letter 生態:化学的に複雑な景観でのコアラの高木消費 2005年5月26日 Nature 435, 7041 doi: 10.1038/nature03551 草食動物に対する防御は、植物の二次代謝産物(PSM)の主な機能であると主張されることが多いが、PSM濃度の種内多様性が野生の草食脊椎動物による採餌行動に影響を与えることを実証した例はごくわずかしかない。飼育動物を使った実験では多くの場合、草食動物が個々の植物体を食べる量にPSM濃度が影響を及ぼすことが示されているが、これらの実験は野生動物が食物選択にあたって直面する微妙なトレードオフ関係を再現していない。つまり野生動物は、捕食者や極端な気象条件を避けつつ、同種個体と相互作用し、バランスのとれた栄養のある食餌をとらねばならないが、一方でPSMによる中毒も避けなければならない。我々は10年間にわたり、コアラ(Phascolarctos cinereus)のある個体群が利用できる2種のユーカリノキ属(Eucalyptus)の木すべてで葉の化学成分の特徴を調べ、木を訪れる率を検討した。そして訪問率は、木のサイズに最も強く影響されるが、葉に含まれる摂食抑止物質のPSM(ホルミル化されたフロログルシノール化合物として知られる)が高濃度であるか、もしくは窒素が低濃度である場合にもコアラが木を訪れる頻度が低くなることがわかった。結果として、植物の化学成分はこの草食動物による高木消費を抑え、したがってコアラが手に入れられる食物を制限し、コアラ個体群に潜在的な影響を及ぼす。 Full Text PDF 目次へ戻る