Letter

生化学:DNA合成がヘリカーゼによるDNAの巻き戻しを加速する駆動力を供給する

Nature 435, 7040 doi: 10.1038/nature03615

ヘリカーゼは分子モーターで、ヌクレオシド5′-三リン酸(NTP)の加水分解のエネルギーを使って核酸の鎖に沿って移動し、DNAの巻き戻しなどを触媒する。バクテリオファージT7の環状ヘリカーゼは、一本鎖(ss)DNAに沿って毎秒130塩基対の速度で移動するが、二本鎖DNAを巻き戻すときには、移動速度は10分の1近くに減速する。本論文では、単独では鎖置換型DNA合成を行えないT7のDNAポリメラーゼが、巻き戻し速度を毎秒114塩基対にまで高め、ヘリカーゼをssDNA上での移動に匹敵する速度で移動できるようにすることを報告する。ヘリカーゼの速度の促進は、DNA合成速度に依存し、T7 DNAポリメラーゼとT7ヘリカーゼのカルボキシ末端残基との間に形成される特異的結合には依存しない。効率よい二本鎖DNA合成は、ヘリカーゼとポリメラーゼが共同作用しないと起こらない。このDNAポリメラーゼによる鎖置換型DNA合成は、ヘリカーゼによる巻き戻しによってssDNAの鋳型ができないと行えない。生じたssDNAの塩基を、ポリメラーゼのDNA合成活性がすばやくとらえることが、ヘリカーゼをssDNA上と同程度の速い速度で二本鎖DNAに沿って移動させる原動力になっている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度