Letter

考古:ムラデチで出土した早期上部旧石器時代の人骨の直接的な年代測定

Nature 435, 7040 doi: 10.1038/nature03585

モラヴィア(チェコ共和国)のムラデチ洞窟で見つかった人類化石群は、考古学的遺物(少数の石器類と、骨製の尖頭器や突き錐、穿孔した歯など生物素材の道具類)に基づいて中央ヨーロッパのオーリニャック期の中期または後期のものだと考えられてきた。ただし、人骨と考古学的材料との関連性に関する疑問や、限られた考古学的遺物のもつ年代学的な意義への懸念ももたれている。人骨群に見られる形態の変動性や、一部標本の原始的に見える特徴、遺物の推定年代の古さから、この化石群はヨーロッパで現生人類がいつどこに出現したかを判定するうえで要となる存在である。本論文では、この遺跡から見つかったヒト化石のうち代表的な5個の放射性炭素年代測定を、加速器質量分析法により初めて直接的に実施し成果を得たので報告する。我々は、14C年代測定のために複数の歯と1個の骨から試料を選択採取した。歯の4試料からは、14C年代で今から約3万1000年前という未較正値が得られ、骨の試料(尺骨)からは不確定ながらもっと新しい年代値が得られた。これらのデータから、ムラデチ人骨群はヨーロッパ初期現生人類の中で最古の頭骨、歯、頭部より後方部位からなる人骨群であり、したがって旧世界北西域における現生人類の出現やネアンデルタール人の盛衰を議論するうえで中核的存在であることが、十分に実証される。

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