Letter 惑星:ブレデフォート隕石クレーターの古地磁気学的性質と火星のクレーターとの関係 2005年5月12日 Nature 435, 7039 doi: 10.1038/nature03560 火星表面の磁気探査によって、ヘラスとアルギレの二つの巨大衝突クレーターは、その周りの地域よりも磁場強度が著しく低いことが明らかになった。周囲に強い磁場が存在しなかったという状況ならば、磁場の低下の原因は隕石の衝突の際に生じた衝撃波による加圧減磁と考えるのが一般的である。南アフリカのブレデフォート隕石クレーターの磁場も周囲の平均強度よりも低いことが観測されている。本論文では、このクレーターの岩石が地球上の同じような岩質をもつ場所で観測された値よりもはるかに高い磁気強度を持っていることを示す。このような強く磁化した岩石の古地磁気方位は一方向に揃ってはおらず、ベクトルの方向はセンチメートルの長さスケールでばらついていることが分かった。また、残留磁気の原因となっている磁鉄鉱の鉱物粒子は衝突の際に結晶化したもので、これが磁気方位の不揃いと磁気強度の増加を直接衝突と関連づけている。強いが方向の揃っていない磁化ベクトルは、クレーター全体で足しあわせるとほぼ相殺してしまう。これと同じ理由で、火星のクレーターも高い高度から探査すると、隣り合ったテレーンよりは磁場が低いように見えるだろう。すなわち、隕石クレーターの磁気異常は衝突が起きた際に惑星内部起源の磁場が存在しなかったことの証拠として用いることができないと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る