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細胞:確率的遷移の減少による細胞記憶の増強

Nature 435, 7039 doi: 10.1038/nature03524

細胞の分化が誘導される際には、細胞の異なった表現型が複雑な遺伝子ネットワークによって暗号化される。これらのネットワークは、かなりの変動があった場合にも確立された表現型が元に戻らないよう防いでいる。今回我々は、酵母のガラクトースシグナル伝達ネットワークをモデル系として用いて、細胞記憶の安定性決定の鍵となるパラメーターを探した。このネットワークには複数の入れ子になったフィードバックループが含まれている。正のフィードバックループ2個のうち、細胞質のシグナル伝達物質Gal3pが仲介するループだけが、それまでのガラクトース消費状態を永続的に記憶する2種類の安定した発現状態をつくり出せる。ガラクトース輸送体Gal2pを介するもう1つの並行するループは、これら2種類の状態間の発現の差を増強するだけである。阻害因子Gal80pを介した負のフィードバックは、中心となる正のフィードバックの強度を低下させる。それにもかかわらず、Gal80p濃度の構成的な上昇は、系を不安定な記憶をもつ状態から永続的な記憶をもつ状態へと変化させる。モデルから、Gal80p濃度が高い方が変動を抑え込む効率が高いことがわかる。実際、1個の細胞が2種類の発現状態間をランダムに行ったりきたりする率が減少した。これらの観察結果によって、細胞の分化状態の安定性と可逆性が定量的に理解できる。

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