Letter 生理:クラゲの眼に見られる高度の光学特性 2005年5月12日 Nature 435, 7039 doi: 10.1038/nature03484 立方クラゲ類は、魚のように活発にふるまうことや精巧な感覚装置をもつ点で、他のあらゆる刺胞動物と異なっている。立方クラゲの四隅のそれぞれには、感覚用の目立つ棍状構造(rhopalium)があり、これらは種類の違う複数の眼が奇妙な形の集合体へと進化したものである。個々の棍状構造にある眼のうち2つが高等動物の眼に似ていることは以前から知られているが、これらの眼の働きや性能は不明であった。今回我々は、立方クラゲ類の眼のレンズには精緻に調整された屈折率勾配が存在し、そのためにほぼ収差のない像が得られることを示す。このことから、たとえ単純な動物でも、これまでは少数の左右相称の高等動物門でしか知られていなかったような、高度に発達した視覚光学的性質をもつ眼を進化させることができたとわかる。しかし、網膜の位置は鮮明な像を結ぶ位置と一致しておらず、個々の光受容器の受容域は非常に広くて形が複雑になっている。我々は、単一の視覚作業を担う眼にはこうした仕組みが有用なのではないかと考える。今回の知見は、目的に合わせて幾何学的に複雑な受容域を作り出すことが、動物の眼内レンズの進化において原初の推進力の1つとなった可能性があることを示すものだ。 Full Text PDF 目次へ戻る