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進化:消滅した更新世の湖で起こった現生シクリッド類の放散

Nature 435, 7038 doi: 10.1038/nature03489

東アフリカの大湖群に生息するハプロクロミス系シクリッド(カワスズメ科魚類)には、適応放散として知られるうちで最も速く、また最も種数の豊富な例がいくつか見られる。しかし、アフリカの大部分の河川には、形態的によく似たハプロクロミス系シクリッドが数種しか生息していない。これについては今まで、河川と比べて大きい湖では生態的好機が豊富なためだと説明されてきた。したがって、アフリカ南部の河川に、生態学的に多様なハプロクロミス類が多種類生息しているのは、意外なことに思える。今回我々は、これらの河川にすむシクリッド類が、完新世に干上がった大きな湖で最近、適応放散により出現したことを示唆する、遺伝学的、形態学的、生物地理学的な証拠を提出する。ハプロクロミス系の種の豊富さが急増するのは、地質学データから古代マクガディクガディ湖がかつて存在していたことが明らかな地域である。この消滅した湖の中央部は現在、カラハリ砂漠北部の天然塩田になっているが、かつてそこでは、急速に進化する魚類種の放散が起こり、その放散は形態の多様性の点で現存のアフリカ大湖群のものに匹敵するものだった。重要なのは、この古代湖からアフリカ南部の主要な河系すべてに、多様な生態のシクリッド類がばらまかれたという点だ。この発見は、生態上、短期間の好機に起こった局所的進化の過程が、生物多様性に対して重大かつ永続的な大陸規模の影響をいかに及ぼしうるかを明らかにするものである。

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