Letter

遺伝:複合遺伝形質の変異に影響を及ぼすエピスタシスと平衡多型

Nature 435, 7038 doi: 10.1038/nature03480

ヒトの疾患、成長速度、作物収量などの複合遺伝形質はポリジーン系、つまり多数の遺伝子が量的に影響を与えることによって決定されている。主要な量的形質遺伝子座(QTL)の同定は進んでいるが、影響の小さなQTLに関する知見は実験上の制約があることで限られている。しかし、こうしたQTLが形質の変異の大きな部分を担っている可能性がある。今回、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の染色体で、成長速度への影響を顧慮せずに選び出した1センチモルガンの範囲について、シロイヌナズナ・ゲノム中の既知の塩基配列多型の特徴について調べたところ、この領域には210キロ塩基対の範囲内に成長速度に関わるQTLが2個存在することがわかった。これらのQTLはともにエピスタシスを示す。つまり表現型への各QTLの影響は遺伝的背景に依存している。このような狭い領域がこれほど複雑なことは、過去に報告されたよりも、量的変異の構成のかなりの部分がポリジーン系に依存することを示している。またQTLの1つは、1つの遺伝子に限定された。この遺伝子には、平衡淘汰を示すヌクレオチド上の特徴がみられ、表現型に及ぼす影響は遺伝的背景によって逆転する。今回対象とした領域が、多くの複合遺伝形質遺伝子座群の典型であるならば、中立でないエピスタシス多型が、複合遺伝形質にみられる遺伝的変異の重要な要因である可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度