Letter 海洋:亜南極海におけるハインリッヒ・イベント時の生産力の増大 2005年4月28日 Nature 434, 7037 doi: 10.1038/nature03544 北半球の氷床からの巨大な氷山の流出である「ハインリッヒ・イベント」は、最終氷期の最も寒冷な時期と時を同じくして起こった。ハインリッヒ・イベントと、それが北大西洋の気候と循環に及ぼしたきわめて大きな影響については多くの証拠が存在するが、北大西洋を越えた影響については依然としてはっきりしていない。本論文では、堆積物から得られた植物プランクトン生産力の分子レベルでの証拠と放射性同位元素をトレーサーによる解析を組み合わせて、過去70,000年間に南大洋の亜極水域において生産力が増大した8つの時期があり、それらが北半球のハインリッヒ・イベントの1,000〜2,000年以内に生じたことを示す。このような関連の原因として考えられるものには、湧昇による鉄の供給の増加や成長季における成層の強化などがあり、これらの現象はハインリッヒ・イベントの間に全球的な海洋循環が変化したことを意味している。北大西洋における氷山の流出を亜南極海の生産力と結びつける機序は、現時点では依然として不明である。これらの極端な気候擾乱期における南大洋の変化状況を解明することが、気候変動における海洋の役割を明らかにする上で重要であると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る