Letter

発生:プログラムされたパターン形成を行う人工多細胞系

Nature 434, 7037 doi: 10.1038/nature03461

パターン形成は、単細胞生物であれ多細胞生物であれ細胞の協調した挙動が存在することの証である。これに関与するのは通常、細胞間コミュニケーションや細胞内シグナル伝達過程である。今回我々は、ある人工多細胞系について報告する。この系は、「受信」細胞に遺伝子操作を施し、「発信」細胞が合成したアシルホモセリンラクトン(AHL)のシグナル化学勾配をもとに別れて輪状のパターンを形成するようプログラムを組んだものである。受信細胞では、「帯域検知」遺伝子ネットワークが、ユーザーの決めた範囲のAHL濃度に反応する。異なるネットワークの出力としてそれぞれ異なる蛍光タンパク質を融合させておくと、受信細胞は当初は未分化の「芝生」状態で存在するが、遺伝子操作を施すことで1つの送信細胞コロニーを中心とした同心円状パターンを形成するようになる。送信細胞をさまざまに配置することで、長円形やクローバー形など他のパターンができる。実験解析および理論解析から、どの動力学的パラメーターが環状パターンの経時的発達に最も大きく作用を及ぼすかが明らかとなる。こうした人工多細胞系の構築と研究によって、自然界で起こる発生過程の定量的な理解を深めることができ、また、組織工学や生体材料製作、バイオセンシングへの応用の道も開けるかもしれない。

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