Letter

聴覚:哺乳類内耳の感覚器の発生にはSox2が必要である

Nature 434, 7036 doi: 10.1038/nature03487

内耳の有毛細胞とそれを支える非感覚細胞は、聴覚と平衡感覚にきわめて重要である。この有毛細胞と支持細胞は共通の前駆細胞から生じるが、その細胞系譜がどう決定されるかは、分子レベルではほとんど解明されていない。我々は最近、聴覚と平衡感覚に異常をきたした2種類の対立遺伝子変異マウスLcc(light coat and circling)とYsb(yellow submarine)を同定した。Lcc/Lccマウスは完全に聴覚が失われており、Ysb/Ysbマウスは重度の聴覚障害をもつ。本論文で明らかにするように、Lcc/Lccマウスの内耳では、感覚器前駆領域が形成されずに有毛細胞も支持細胞も生じないことが内耳の重篤な異形成につながるが、Ysb/Ysbマウスでは発生に異常がみられ、有毛細胞の秩序が乱れ、数が少なくなる。これらの表現型は、特に発生中の内耳で転写因子SOX2の発現がまったく起こらない(Lcc変異体の場合)、あるいは低下している(Ysb変異体の場合)ために生じる。有毛細胞の分化に不可欠な遺伝子Math1Atoh1あるいはHATH1ともよばれる)をもたないマウスの内耳では、SOX2の発現が維持されるが、Lcc変異体ではMath1の発現はまったく起こらないことから、Sox2Math1の上流で働くことが示唆される。

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