Letter

生化学:アクアポリン-1遺伝子破壊による血管新生阻害と細胞移動の減退

Nature 434, 7034 doi: 10.1038/nature03460

アクアポリン-1(AQP1)は血管内皮細胞に広く発現している水チャネルタンパク質で、細胞膜の水の浸透性を亢進させる。内皮細胞の機能におけるAQP1の役割は不明であった。本論文で我々は、AQP1欠損マウスの皮下または頭蓋内に癌細胞を移植すると腫瘍の増殖が顕著に阻害され、腫瘍血管の減少と広範囲におよぶ壊死がみられることを報告する。細胞培養実験により、血管新生の阻害に関する新しいメカニズムが確立された。野生型とAQP1欠損マウス由来の大動脈内皮細胞の初代培養を比較したところ、細胞の接着と増殖はほぼ同程度であったが、AQP1欠乏細胞では移動能力が顕著に減退しており、in vitroでの血管形成も異常であった。内皮細胞以外の細胞にAQP1遺伝子または構造的に異なる水選択的トランスポーター(AQP4)を安定トランスフェクションしたところ、in vitroにおける細胞移動と創傷治癒が促進された。運動性のAQP1発現細胞では移動先端の細胞膜で活発なラフリングが見られ、ラメリポジウムへAQP1たんぱく質が局在化して、高速な水分流動が起こる。細胞移動は、血管新生・創傷治癒・腫瘍細胞の広がり・組織再生などの広範な生命現象の中心をなすものであり、これらの結果は水チャネルが細胞移動において重要な役割を果たすことを示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度