Letter 医学:カンナビノイドの低用量経口投与はマウスにおいてアテローム性動脈硬化の進行を抑える 2005年4月7日 Nature 434, 7034 doi: 10.1038/nature03389 アテローム性動脈硬化症は慢性炎症性疾患であり、西欧諸国では心疾患および脳卒中の主な原因となっている。Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)などのカンナビノイド誘導体は免疫機能を調節するので、炎症性疾患の治療薬となる可能性がある。今回我々は、確立されたアテローム性動脈硬化のマウスモデルでTHCの効果を調べた。THCを経口投与(1 mg・kg-1/日)した結果、疾患の進行が大きく抑制された。この有効量は、通常THCの向精神作用があらわれるとされている量よりも少ない。またCB2受容体(免疫細胞の表面に発現する主要カンナビノイド受容体)が、ヒトおよびマウスのアテローム性動脈硬化のプラーク中に検出された。THCを投与したマウスから単離したリンパ球では、増殖能の低下とインターフェロン-γの分泌減少が認められた。アテローム性動脈硬化の発生につながる極めて重要な段階であるマクロファージの走化性も、in vitroでTHCによって阻害された。これらすべての作用は、CB2受容体の特異的拮抗剤の使用で完全に抑制された。今回得られた結果は、アポリポタンパク質Eノックアウトマウスにおいて、低用量THCの経口投与により、リンパ系細胞および骨髄系細胞に対する多面的な免疫調節効果を介して、アテローム性動脈硬化の進行が抑えられることを示している。したがって、THC、またはCB2受容体に活性を示すカンナビノイドは、アテローム性動脈硬化症治療の有用な標的となる可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る