アグリカンは軟骨に含まれる主要なプロテオグリカンで、軟骨に荷重や圧縮に耐える独特の性質を与えている。関節炎に罹患した軟骨では、アグリカンはADAMTS(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs)ファミリーのプロテイナーゼである「アグリカナーゼ」のひとつ、またはそのいくつかによって分解される。このうちADAMTS1、ADAMTS8、ADAMTS9は弱いアグリカン分解活性をもつが、主要なアグリカナーゼとは考えられていない。なぜならADAMTS1を欠失させたマウスでは実験的関節炎が引き起こされ、またADAMTS8とADAMTS9による切断は効率が極めて低いからである。ADAMTS4およびADAMTS5は関節組織で発現しており、効率的なアグリカナーゼであることがin vitroで報告されているが、これらの酵素が軟骨病理に厳密にどのような関与をするかは不明である。今回我々は、ADAMTS5がマウス軟骨における主要なアグリカナーゼであることをin vitroおよび、炎症性関節炎のマウスモデルで明らかにする。得られた結果から、ADAMTS5が関節炎における軟骨破壊を抑えるように設計される新薬の開発の適当な標的となりうることが示唆される。ただし、ADAMTS5がヒトの関節炎でも主要なアグリカナーゼであるか否かを調べるためには、さらに研究が必要である。