Letter

化学:室温での原子操作による単一分子の2電子解離

Nature 434, 7031 doi: 10.1038/nature03385

走査型トンネル顕微鏡(STM)のチップを用いて表面上の個々の原子や分子を機械的に操作することはいまや確立された手法となっている。同様に、STMのチップを用いた吸着分子の選択的な振動励起により運動や解離を引き起こせることも広く示されてきた。このような実験は通常、低温で操作して安定化させる必要のある、弱く結合した原子について行われている。室温での同種実験は、ランダムな熱揺らぎによる摂動を受けない比較的強く結合した化学種を必要とするため、より困難である。しかしこの場合も、1〜5 Vという比較的高いバイアス電圧のもとでSTMチップと表面の間をトンネルする電子電流によって原子や分子の電子励起を起こすことで、操作ができる。今回我々はこの手法を用いて、Si(111)-7×7表面に吸着した個々に配向したクロロベンゼン分子から塩素原子を選択的に解離させた。解離した塩素原子の最終到達地点を詳しく調べ、その動径分布と角度分布がトンネル電流、ひいては励起速度に依存することが見出された。我々の系では、名目上、解離を引き起こすには1個のトンネル電子は十分なエネルギーをもつが、実際には2個の電子が必要である。これらの観測結果は、振動励起段階と解離的な電子付加段階が組み合わさった2電子機構により説明される。

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