Letter

医学:MET癌遺伝子は癌と止血を関連付ける遺伝プログラムを推し進める

Nature 434, 7031 doi: 10.1038/nature03357

血液凝固系の活性化と癌の密接な関係は古くから謎とされていた。1865年にmigrans trombophlebitis(移行性血栓性静脈炎;血液が自然凝固しやすくなる状態)が潜伏癌の予兆であることが報告された(トルソー徴候)。この先駆的な観察は、止血異常と癌の発生に関連があることを強調するものであった。それ以来、この現象は臨床的・疫学的研究の中で頻繁に報告されてきたが、これまでそのメカニズムは説明されていない。本論文では、体細胞の遺伝子操作による散発的発癌のマウスモデルについて報告する。活性型ヒトMET癌遺伝子を成体マウスの肝臓に導入すると、肝臓癌の発生が緩やかに進行する。発癌に先立ち、そして発癌とともに、まず血液の過剰な凝固(静脈血栓)が起こり、次に致死的な内出血が生じるという症候群がみられる。この症候群は、プラスミノーゲン活性化因子インヒビタータイプI(PAI-1)やシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)遺伝子の顕著なアップレギュレーションを含む、癌遺伝子の転写応答により引き起こされる。in vivoでの解析で、これら両方のタンパク質が血栓出血性形質に対応することが示された。この結果は、長い間議論されてきた癌遺伝子の活性化と止血の関連についての直接的な遺伝学的証拠となるものである。

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