Letter 脳:スパイクタイミング依存的なシナプス可塑性は樹状突起上の位置に依存する 2005年3月10日 Nature 434, 7030 doi: 10.1038/nature03366 大脳新皮質では、各ニューロンは長く拡がる樹状突起の全体にわたって分布する何千ものシナプスからの入力を受けている。それぞれの入力のシナプス後の処理過程がその樹状突起上の位置によって異なることは知られているが、活動依存的なシナプス修飾も位置依存的かどうかはわかっていない。本論文では、ラット皮質の2/3層の錐体ニューロンの尖頭樹状突起に沿って、スパイクのタイミングに依存的なシナプス調節の規模と時間的特異性の両方が変化していくことを報告する。樹状突起の遠位では、長期増強の規模がより小さく、長期抑圧(LTD)を起こすためのシナプス前細胞と後細胞のスパイク間隔の有効範囲がより広い。LTDのスパイクタイミング有効範囲は、活動電位によって引き起こされるNMDA(N-メチル-D【スモールキャピタル】-アスパラギン酸)受容体の抑制の有効時間範囲と相関しており、この相関は樹状突起上の位置依存性にも薬理学的特性にもあてはまった。NMDA受容体を部分的に阻害するという条件下でシナプス前刺激をするとLTDが起こり、その後のスパイクタイミング依存的なLTDの誘発が遮断されたことから、このLTD誘発の基盤にはNMDA受容体の抑制があると考えられる。コンピューターシミュレーションの結果からは、スパイクタイミング依存的シナプス修飾の樹状突起上の不均質性により、シナプス前スパイク列の時間的性質にしたがって、遠位と近位の樹状突起で異なる入力選択がなされることが示された。このような位置依存的な入力のチューニングが、樹状突起のシナプス後処理の不均一性とあいまって、皮質錐体ニューロンの演算能力を増強しているのかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る