Letter 医学:熱帯熱マラリアの症状発現の世界分布 2005年3月10日 Nature 434, 7030 doi: 10.1038/nature03342 物資や財源を適切に割り当てるため、流行リスクのある集団を把握したり、世界経済への影響を評価するための堅固な枠組みを得たりする必要性があり、こうしたことからマラリアの世界分布地図作成への関心が喚起されている。マラリア分布の新旧地図を比較することで、この疾患が地理的に限定されてきた様子がわかるが、マラリアは今もって気候が感染に適した世界各地の貧困地域に根強くはびこっている。今回我々は、疫学、地理学、人口統計学の各データを併用することで、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)によって起こる症状発現件数を全世界規模で見積もる経験的手法を提案する。我々の見積もりでは、2002年の熱帯熱マラリアの症状発現件数は5億1,500万(値域3億〜6億6,000万)となった。この全世界の見積もり値は、世界保健機関(WHO)が報告した数値より50%も大きく、アフリカ以外の地域についてみると200%も大きいが、これはWHOの報告が各国政府による症例数報告をよりどころにした受動的なものであることを反映している。マラリアのリスク地図作成について十分な理解がなされないかぎり、熱帯熱マラリア原虫によって起こる臨床疾患の世界的広がりは今後も実際より少なく見積もられることになる。 Full Text PDF 目次へ戻る