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発生:多胚生殖を行うハチの一種では初期割球が胚の増殖とカースト運命を決定する

Nature 432, 7018 doi: 10.1038/nature03171

1つの受精卵からクローナルな増殖によって複数の胚を形成する多胚形成は、後生動物にみられる独特の発生様式である。多胚生殖を行う寄生昆虫キンウワバトビコバチCopidosoma floridanumは、1つの卵から2,000に及ぶ胚が作られる多胚形成のもっともはなはだしい例の一つである。さらにこのハチは変わった表現型多型(polyphenism)を示し、「早熟型」(precocious)と「生殖型」(reproductive)と呼ばれる2つの形態的に異なるカーストに属する幼虫が同一受精卵からクローン個体として生じる。この発生様式は、卵の母系プレパターンが胚の体軸極性を指定するとされる昆虫の発生モデルと矛盾しているように思われる。今回我々は、生殖質という形での母系プレパターンが、四細胞期のキンウワバトビコバチ胚で細胞の非対称性を作り出し、これが発生の過程を通じて維持されることを示す。細胞のレーザー切除実験から、生殖質を受け継ぐ細胞が生殖型カーストの発生運命と増殖を制御することがわかる。したがって、単一細胞の持つ制御能力によって起こるカースト分化の新たな機構が見つかったことになる。この研究は、昆虫胚で見られる哺乳類と似た調節性発生の展開が、細胞の経歴と周辺状況という今まで知られていなかった状況に依存しており、これが究極的には発生の可塑性を高めることを示すものである。

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