Letter 免疫:HIVとHLAの潜在的共進化の成立には主としてHLA-Bが影響している 2004年12月9日 Nature 432, 7018 doi: 10.1038/nature03113 ヒトゲノムのヒト白血球抗原(HLA)クラスI領域の著しい多型性は、病原体に対するCD8+T細胞による防御に有利に働くと考えられている。HLAクラスI分子は、病原体由来ペプチドを感染細胞の表面に提示して、CD8+T細胞によって認識されるようにする。しかし、HLA-AおよびHLA-B対立遺伝子の相対的な寄与度はこれまで評価されていなかった。今回、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)に対するクラスI拘束性CD8+T細胞応答について、包括的な解析を行った。HIV-1の免疫による制御は、CD8+T細胞のウイルス特異的な活性に依存している。HIV-1に感染している、アフリカ南部の375人の被験者では、CD8+T細胞応答は、HLA-A拘束性のものに比べて、HLA-B拘束性細胞によるものが著しく多かった(2.5倍;P= 0.0033)。本論文では、ウイルスのセットポイント、CD4T細胞の絶対数、およびコホートにおける疾患の進行速度(推測による)の変動は、HLA-B対立遺伝子の発現と強く関連しているが(P<0.0001)、HLA-A対立遺伝子の発現とは関連しない(P = 0.91)ことを示す。また、HIV-1に対するHLA-B対立遺伝子による選択圧は、HLA-Aに比べてかなり大きい(4.4倍;P=0.0003)。これらの結果は、 HIV特異的な活性は主にHLA-B遺伝子座に集中していることを示している。さらに、この集団におけるHLA-B遺伝子頻度は、HIV感染症によって最も大きな影響を受けていると考えられる値を示し、これはB対立遺伝子がA対立遺伝子よりも迅速に進化するという観察結果と一致する。HIV感染症の転帰に対する影響にHLA-Bが主にかかわっているというこの知見は、HIV研究の方向とワクチンの設計にとりわけ関連深いものである。 Full Text PDF 目次へ戻る