Letter 生態:南大洋の長期にわたるオキアミ資源の減少とサルパ類の増加 2004年11月4日 Nature 432, 7013 doi: 10.1038/nature02996 南極オキアミ(Euphausia superba)とサルパ類(主にSalpa thompsoni)は南大洋における主要なグレーザーであり、オキアミは商業漁業を支えている。これらの密度分布は1926〜51年の期間中に報告されているが、最近の局所的調査では短期の変化が示されている。もっと大きい規模で空間変化や経時変化を調べるため、我々は1926年から2003年までの入手可能な科学的ネット試料採集データすべてを合わせた。このデータベースから、生産性の高い大西洋南西海域には南大洋オキアミ資源の50%以上が含まれるが、ここのオキアミ密度は1970年代以降減少していることがわかった。空間的に見ると、オキアミの生息海域内では夏季におけるオキアミの密度はクロロフィル濃度と正に相関している。経時的にみると、大西洋南西海域内では夏季のオキアミ密度はその前の冬季の海氷面積と正に相関している。したがって夏季の食物と冬季の海氷面積が、大西洋南西海域のオキアミ密度が高くなるための重要要因である。オキアミに必要なのは、この海域で夏季に植物プランクトンが大量発生することである。この海域で冬季に海氷が大きく広がれば、アイスアルジーから大量の冬季食物が供給され、幼生の加入が促進されてオキアミ資源が補充されることになる。これに対して、サルパ類は南大洋のもっと生産力の低い広範な海域を占めており、オキアミに比べて高い水温に耐えられる。20世紀の間、オキアミの密度が下がる一方でサルパ類は分布域の南方で増加したとみられる。こうした変化が、南大洋の食物網内部に重大な影響を及ぼしてきたのである。 Full Text PDF 目次へ戻る