Letter 物理:6Heの中性子ハローは複合核の形成には役立たない 2004年10月14日 Nature 431, 7010 doi: 10.1038/nature02984 複合核の形成などにみられるように、ポテンシャル障壁を突き抜ける量子トンネル効果は、系の詳細な構造とその固有の自由度に極めて敏感に依存する。重い変形核は、複合核を形成する確率を著しく増大させることが観測されている。6He、11Li、11Beのようなハロー核と呼ばれる軽い特異核では、中性子物質が通常の核間相互作用の距離よりもずっと大きく拡がっている。しかし、中性子のハローが複合核の形成に及ぼす影響については、諸説紛々として定まらない。複合核の形成を著しく助長するであろうという主張がある一方、核の弱い束縛エネルギーがそれを妨げるかもしれないという意見もある。そのほか、普通の原子核では無視できるような直接過程が、ハロー核では重要になる。例えば、ハロー核の一部がポテンシャル障壁の低下に乗じて標的核に移行するかもしれない。我々は、ハロー核6Heと標的核238Uとの核反応を、複合核を形成する障壁の高さ付近のエネルギー領域で調べた。これらの反応の大半は系の核分裂を起こすので、全断面積のうち、核分裂の断面積をもって複合核の形成および移行過程の寄与を表す部分と同定し、両者の実験的特徴としてこれを検出する。複合核を形成する高さ以下のエネルギー領域では、ハロー核であっても複合核の形成を本質的に増大させないことを見出した。核分裂の大きな断面積は、むしろ、2中性子移行反応による。しかし、これ以外の直接過程も含まれている可能性が高い。 Full Text PDF 目次へ戻る