Letter

発生:尾索動物の胚では神経冠細胞に類似した移動性の細胞が体の色素形成を行う

Nature 431, 7009 doi: 10.1038/nature02975

神経冠は脊椎動物の胚でさまざまな種類の細胞の起源となるが、他の脊索動物ではこれまで見つかっていない。そのため、神経冠細胞は脊椎動物で新しく生じたものだというのが現在の見方となっている。本論文では、尾索動物のホヤの一種Ecteinascidia turbinataに、神経冠細胞に似た移動性の細胞集団があることを報告する。生体で利用できる親脂質性色素DiIを使って胚と幼生を標識したところ、神経管から出て体壁と水管原基へと移動し、後に色素細胞へと分化する細胞が見つかった。これらの細胞は、脊椎動物の神経冠細胞がもつHNK-1抗原とZic遺伝子マーカーを発現していた。これらの結果から、神経冠細胞の性質をある程度備えた移動性細胞が、尾索動物にも存在することが示唆される。したがって我々は、神経冠細胞の進化は、尾索動物と脊椎動物の共通の祖先において移動性の細胞がCNSから遊離して体の色素形成を行うようになったことから始まったと考える。これらの細胞が、さらに機能を獲得したり、他の細胞型と一緒になって、脊椎動物の神経冠に特徴的に見られる多様な派生細胞を生じたのかも知れない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度