Letter 進化:中国南部の湖南省にあるカンブリア紀中期および後期の地層から出土した胚化石 2004年1月15日 Nature 427, 6971 doi: 10.1038/nature02215 比較発生学は後生動物の系統発生の様式や過程を解明するうえで不可欠だが、この研究分野は祖先種群の生活は現生分類群の生活史に準じるとした仮定のうえに成り立っている。胚の化石によりこの仮定を検証するための重要な手段が得られ、また発生の進化を解明する手がかりとなる可能性がある。しかしこれまで発見された化石では系統分類上の絞り込みがなされていないため、胚化石の重要性は未知数の段階にとどまっている。今回我々は、中国南部の湖南省にあるカンブリア紀中期および後期(5億年前)の地層から見つかった胚化石の一群について報告する。この胚化石群には、現生Scalidophora類(鰓曳動物門、動吻動物門、胴甲動物門)に似た直接発生をする動物の卵割から孵化前までの胚発生段階が見られる。最も発生の進んだ段階の胚は、カンブリア紀前期のMarkueliaの胚によく似ている。Markueliaの生活史戦略は、後生動物門について考えられている原始的状態とも、また、間接発生をする種との類似性を考えた数多くの仮説とも隔たりがある。これらの発生学データに基づく系統発生上の検証からすると、Scalidophora類の系統樹で幹種との類似性が示唆される。これらの知見は比較発生学による予測を否定する材料ではなく、むしろ確証する材料であって、現生分類群の生活史戦略が系統樹で幹系統の生活史戦略をも表すとする考え方を過去の証拠から直接裏づけるものである。 Full Text PDF 目次へ戻る