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神経生物学:痛みに関わる新要因が見つかった
Neurobiology: New player in pain p.729
長く続く痛みでは、神経シグナル伝達における長期的な変化が起こっているはずである。では、その変化は何によって引き起こされるのだろうか。ラットでは、脊髄内の免疫細胞に似た細胞と、今まで痛みに関する研究分野では知られていなかった分子が関わっている。
doi: 10.1038/424729a
固体物理学:量子回路の構成図
Solid-state physics: Drawing quantum circuitry p.730
低温で操作される原子間力顕微鏡は、量子エレクトロニクス装置を作ったり、調整したりするのに使うことができる。また、量子コンピューティングに必要な複雑な回路を構築する手段となる可能性もある。
doi: 10.1038/424730a
地球気候変動:暖まったタンガニーカ湖
Global change: The heat on Lake Tanganyika p.731
タンガニーカ湖で表面近くの水温が上昇し、漁獲量が減少したことは、地球規模の気候変動と関連づけられてきた。地球温暖化が自然の生態系に及ぼす影響は、局地的な経済にも影響を与え始めたのかもしれない。
doi: 10.1038/424731a
癌:DNAを詰め込んで守る
Cancer: Protective packaging for DNA p.732
ヒストンタンパクは、DNAをコンパクトに詰め込むという構造的な役割がもっともよく知られている。しかし、こういうタンパク質の1つは、癌の発症防止を助けることで、腫瘍のサプレッサーとしても働いているらしい。
doi: 10.1038/424732a
大気物理学:オーロラ研究の新たな曙
Atmospheric physics: A new dawn for aurora p.734
新しい種類のオーロラが観察された。これは、形状は従来のオーロラに似ているのだが、従来のものが持つ強度や動的性質を欠いており、その代わりに地球とともに静かに回転しているのである。
doi: 10.1038/424734a
免疫学:Tollの関わるもう1つの経路
Immunology: Another toll road p.736
微生物に対する免疫応答には、よく知られているシグナル伝達カスケード反応が関わっている。しかし、これが、対病原体闘争の全ての局面をコントロールしているわけではない。今まで知られていなかった「アダプター」タンパク質を含む第二のカスケードがあって、欠陥部分を埋めるのを助けているのだ。
doi: 10.1038/424736a
地球科学:氷河は作業中
Earth science: Glaciers at work p.737
氷河は、堆積物を運んで配置し直したり、地球表面の一部の形を変えたりといった力仕事の係のように考えられてきた。しかし、正確にはどういうことをしているのか、それはあまり分かっていなかったのだが、今回発表された新たな仮説でこの事態は改善されそうだ。
doi: 10.1038/424737a
シグナル伝達:アスピリン、ユビキチン、癌という三題
Signal transduction: Aspirin, ubiquitin and cancer p.738
腫瘍は、実にさまざまな方法で、体の掟破りをやってのけ、規制を無視する。今回発表された最新の研究により、ある良性腫症と、生物学研究における2つのホットな対象、NF-κBとユビキチンとが結びつくことがわかった。
doi: 10.1038/424738a
Article
免疫:MyD88非依存性TIRシグナル伝達における重要な伝達物質としてのLps2の同定
Identification of Lps2 as a key transducer of MyD88-independent TIR signalling p.743
doi: 10.1038/nature01889
Letters
宇宙:シンクロトロン衝撃波モデルと矛盾する高エネルギーのスペクトル成分をもつγ線バースト
A -γray burst with a high-energy spectral component inconsistent with the synchrotron shock model p.749
doi: 10.1038/nature01869
技術:量子部品用の消去可能な静電リソグラフィー
Erasable electrostatic lithography for quantum components p.751
doi: 10.1038/nature01841
海洋:北太平洋亜熱帯海域における大気中CO2吸収の気候による変化
Climate-driven changes to the atmospheric CO2 sink in the subtropical North Pacific Ocean p.754
doi: 10.1038/nature01885
地球:氷河の底面の侵食における安定化フィードバック
Stabilizing feedbacks in glacier-bed erosion p.758
doi: 10.1038/nature01839
地球:地球中心核表面の赤道付近に見られる磁束の強い集中
Intense equatorial flux spots on the surface of the Earth's core p.760
doi: 10.1038/nature01879
海洋:深海底への植物デトリタスのパルス状供給の行方を示すin situでの実験的証拠
In situ experimental evidence of the fate of a phytodetritus pulse at the abyssal sea floor p.763
doi: 10.1038/nature01799
気候:タンガニーカ湖の水中生態系は気候変動により生産力が減少している
Climate change decreases aquatic ecosystem productivity of Lake Tanganyika, Africa p.766
doi: 10.1038/nature01833
認知:行動を観察する際にも用いられる行動計画
Action plans used in action observation p.769
doi: 10.1038/nature01861
聴覚:フクロウの聴覚空間マップ上の神経イメージから予測する聴覚の空間精度
Prediction of auditory spatial acuity from neural images on the owl's auditory space map p.771
doi: 10.1038/nature0183510.1038/
神経:グルタミン酸作動性シナプスにおけるGABAB受容体活性化によるシナプス小胞のプライミングの直接的な調節
Direct modulation of synaptic vesicle priming by GABAB receptor activation at a glutamatergic synapse p.775
doi: 10.1038/nature01859
医学:脊髄内ミクログリアで誘導されるP2X4受容体は神経損傷後の異痛症(アロディニア)の発現にかかわる
P2X4 receptors induced in spinal microglia gate tactile allodynia after nerve injury p.778
doi: 10.1038/nature01786
医学:ラクダ科動物抗体フラグメントはヒト・リゾチームによるアミロイド繊維形成を阻害する
A camelid antibody fragment inhibits the formation of amyloid fibrils by human lysozyme p.783
doi: 10.1038/nature01870
遺伝:さまざまな生物種の標的ゲノム領域塩基配列の比較解析
Comparative analyses of multi-species sequences from targeted genomic regions p.788
doi: 10.1038/nature01858
医学:CYLDはTNFRファミリー分子によるNF-κB活性化の負の制御を行う脱ユビキチン化酵素である
CYLD is a deubiquitinating enzyme that negatively regulates NF-κB activation by TNFR family members p.793
doi: 10.1038/nature01803
医学:円柱腫症腫瘍抑制因子の消失はNF-κBの活性化によりアポトーシスを阻害する
Loss of the cylindromatosis tumour suppressor inhibits apoptosis by activating NF-κB p.797
doi: 10.1038/nature01811
医学:腫瘍抑制因子CYLDは脱ユビキチン化によりNF-κBシグナル伝達系を負に調節する
The tumour suppressor CYLD negatively regulates NF-κB signalling by deubiquitination p.801
doi: 10.1038/nature01802
生化学:変異がペプチドやタンパク質の凝集速度におよぼす影響の有理化
Rationalization of the effects of mutations on peptide andprotein aggregation rates p.805
doi: 10.1038/nature01891