Volume 420 Number 6917

今週のハイライト

目次

News & Views

宇宙論:脚光を浴びる背景放射

Cosmology: Background comes to the fore p.747

宇宙マイクロ波背景放射は、初期の宇宙に関する情報のきわめて稀な供給源である。この放射の偏光が観測されたことで、ビッグバン後まもなくに宇宙の膨張期があったことが確かめられるかもしれない。

doi: 10.1038/420747a

免疫学:過去の思い出

Immunology: Remembrance of things past p.748

記憶T細胞は、我々が前に遭遇したことがある感染性微生物を撃退するのを助けてくれる。記憶細胞の産生については2つのモデルが考えられているが、新たな研究から、そのうちの1つを支持する結果が得られた。

doi: 10.1038/420748a

物性物理学:密な氷を精密に調べる

Condensed-matter physics: Dense ice in detail p.749

水のような単純な物質でも、実は物理的に極めておもしろい問題を提供してくれる。氷には、非結晶性の形態が複数種含まれており、その内の1つは極めて密な構造を持っている。この構造の性質の詳細が今回明らかになった。

doi: 10.1038/420749a

神経生物学:脳の配線の様子

Neurobiology: How hardwired is the brain? p.751

技術の飛躍的な発展のおかげで、2つの研究グループが、生きているマウスを使って神経細胞上の小さな突起である棘の消長の研究が可能なことを明らかにしている。しかし、棘がどのように動的なものなのか、それはまだわかっていない。

doi: 10.1038/420751a

応用物理学:サンドイッチみたいな発光ダイオード

Applied physics: A light-emitting sandwich filling p.752

有機材料である発光ダイオードと無機材料の量子ドットを組み合わせることが、エレクトロルミネセンスに新たな進展をもたらした。最新の作りやすいデバイスは、発光効率がずっと高くなっている。

doi: 10.1038/420752a

植物科学:ハエでも滑り落ちる壁

Plant science: On the slide p.753

筒状の葉(嚢状葉)を持つ食虫植物は、獲物である昆虫を捕らえるための実に効率のよい手段を備えている。このような植物の1種の嚢状葉の電子顕微鏡観察から、嚢状葉の表面構造は餌をとことん逃さないようにできていることが明らかになった。

doi: 10.1038/420753a

ゲノム科学:ホヤのゲノムから探る脊椎動物の起源

Genomics: Return of a little squirt p.755

脊椎動物との関係がはっきりせず、類似点も少ない動物のゲノム概要配列を使えば、脊椎動物の起源について、もっと詳しく調べることができるようになるかもしれない。こういう研究は百年前以上も前から待ち望まれてきているのだ。

doi: 10.1038/420755a

計算生物学:進化の方向は運任せ?

Computational biology: Evolution plays dice p.756

コンピューターを使ったシミュレーションでは、最初は、同一の環境内で成長しつつある同一の生物集団だったものが、まったく異なる進化の道筋をたどることがある。突然変異的な相互依存がこの鍵を握っている。

doi: 10.1038/420756a

Articles

Measurement of polarization with the Degree Angular Scale Interferometer p.763

doi: 10.1038/nature01271

宇宙:宇宙マイクロ波背景の偏光をDASIにより検出

Detection of polarization in the cosmic microwave background using DASI p.772

doi: 10.1038/nature01269

神経:成熟皮質における経験依存的シナプス可塑性の長期的in vivo観測

Long-term in vivo imaging of experience-dependent synaptic plasticity in adult cortex p.788

doi: 10.1038/nature01273

Letters

宇宙:タイタンの南極付近にある変動する対流圏の雲の直接的検出

Direct detection of variable tropospheric clouds near Titan's south pole p.795

doi: 10.1038/nature01302

物性:La0.5Ca0.5MnO3における、電荷が規則配列した強磁性相

Charge-ordered ferromagnetic phase in La0.5Ca0.5MnO3 p.797

doi: 10.1038/nature01299

材料:分子性有機素子におけるナノ結晶の1枚の単層から発する電界発光

Electroluminescence from single monolayers of nanocrystals in molecular organic devices p.800

doi: 10.1038/nature01217

地球:下部マントル最上部に存在する海洋地殻の中の非平衡ガーネット

Metastable garnet in oceanic crust at the top of the lower mantle p.803

doi: 10.1038/nature01281

海洋:SAR11クレードが海洋表層の細菌プラクトン群集で優占している

SAR11 clade dominates ocean surface bacterioplankton communities p.806

doi: 10.1038/nature01240

進化:自己複製するコンピュータープログラムを用いる大進化のシミュレーション

Macroevolution simulated with autonomously replicating computer programs p.810

doi: 10.1038/nature01151

神経:成熟皮質の樹状突起棘の長期的安定性

Long-term dendritic spine stability in the adult cortex p.812

doi: 10.1038/nature01276

生理:ショウジョウバエの概日時計に果たすカゼインキナーゼ2αの役割

A role for casein kinase 2 in the Drosophila circadian clock p.816

doi: 10.1038/nature01235

細胞:インスリンに応じたグルコース輸送体の再生利用は、ミオシンMyo1cによって促進される

Glucose transporter recycling in response to insulin is facilitated by myosin Myo1c p.821

doi: 10.1038/nature01246

免疫:ヘルパーT細胞はin vivoで2型自然免疫を調節する

Helper T cells regulate type-2 innate immunity in vivo p.825

doi: 10.1038/nature01202

植物:葉緑体逃避運動は植物の光損傷を軽減する

Chloroplast avoidance movement reduces photodamage in plants p.829

doi: 10.1038/nature01213

細胞:ショウジョウバエのMybを含むタンパク質複合体が部位特異的DNA複製の際に果たす役割

Role for a Drosophila Myb-containing protein complex in site-specific DNA replication p.833

doi: 10.1038/nature01228

細胞:ショウジョウバエでは、RNAプロセシングを行うエキソソームが伸長作業中のRNAポリメラーゼIIに結合している

The RNA processing exosome is linked to elongating RNA polymerase II in Drosophila p.837

doi: 10.1038/nature01181

生化学:二種のヌクレオチドのみから構成されるリボザイム

A ribozyme composed of only two different nucleotides p.841

doi: 10.1038/nature01185

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