Volume 420 Number 6911

今週のハイライト

目次

News & Views

炭素循環:野火という要因

Carbon cycle: The wildfire factor p.29

野火のような、地球全体としてみればごく狭い地域で起こるできごとが、地球全体の炭素循環に極めて大きな影響を及ぼすことがある。5年前にインドネシアに大きな被害をもたらした山火事の調査から、これだけは明らかになっている。

doi: 10.1038/420029a

視覚:網膜の露出は何のため?

Vision: What is a naked retina good for? p.30

Bythograea thermydronというカニの眼は、むき出しになった大きな網膜でできている。このカニの幼生に関する研究から、こういう眼は海底火山の熱水噴出口周辺の薄暗い環境に特異的に適応したものだと考えられるようになった。

doi: 10.1038/420030a

天文学:中性子星の放つ光

Astronomy: Twinkle, twinkle, neutron star p.31

中性子星は、その名前が示すようにほとんどが中性子からできている。しかし、恒星の残りかすであるこの小型で高密度の星の中心核は、未知の奇妙な物質など、物質の何か未知の状態を隠し持っている可能性がある。このような星からの光がその鍵を握っている。

doi: 10.1038/420031a

タンパク質の折りたたみ:シミュレーションに助けられる

Protein folding: With a little help... p.33

タンパク質が折りたたまれる際の時間スケールを調べるにあたって、実験的測定とコンピューター・シミュレーションの結果が収束しつつある。このような展開は、分子生物物理学における前途有望な進歩といえる。

doi: 10.1038/420033a

植物生態学:コウモリ宅配便

Plant ecology: Express delivery by bat p.34

植物の種子は、植物が生き延びて生育可能な場所にまき散らさなくてはならない。メキシコの砂漠地帯では、コウモリの1種が巨大なサボテンを好んで選び、その種子を運んで散布する媒介動物になっている。

doi: 10.1038/420034a

物性物理学:時期的な揺らぎを追い出す

Condensed-matter physics: Magnetic frustration squeezed out p.35

「フラストレーションを持つ」磁石の原子のスピンは、原子の局所的な相互作用のエネルギーを同時に最小化することができない。こうしたスピンは、極めて低温にしても「揺らぎ」続ける。しかし、高圧下におくと、これらも秩序だった整列をするのである。

doi: 10.1038/420035a

天文学:接近遭遇とガスの干満

Astronomy: Close encounters of the tidal kind p.38

マゼラン星雲の中で、ガスの干満に洗われる領域で星が形成されている。一酸化炭素に関する測定によって、ガスが濃縮されつつあることがわかった。さらなる観察が行われれば、星雲の最終的な運命が明らかになるかもしれない。

doi: 10.1038/420038a

医学:多発性硬化症の治療薬

Medicine: Tackling multiple sclerosis p.39

マウスを使った新たな研究により、ある種の抗コレステロール薬が、ヒトの多発性硬化症と同種の脳の自己免疫病の症状を軽減し得ることが見出された。また、この薬の作用機作についてもヒントが得られた。

doi: 10.1038/420039a

Article

生化学:T7RNAポリメラーゼ伸長複合体の2.9Å分解能の構造

Structure of a T7 RNA polymerase elongation complex at 2.9 A resolution p.43

doi: 10.1038/nature01129

Letters

宇宙:中性子星のX線バーストでのスペクトルに見られる、重力によって赤方偏移した吸収線

Gravitationally redshifted absorption lines in the X-ray burst spectra of a neutron star p.51

doi: 10.1038/nature01159

物性:スピン液体の圧力誘起結晶化

Pressure-induced crystallization of a spin liquid p.54

doi: 10.1038/nature01157

物理:コア‐シェル型およびコア‐マルチシェル型エピタキシャル・ヘテロ構造ナノワイヤー

Epitaxial core?shell and core?multishell nanowire heterostructures p.57

doi: 10.1038/nature01141

環境:1997年のインドネシアにおける泥炭地および森林の火災で放出された炭素量

The amount of carbon released from peat and forest fires in Indonesia during 1997 p.61

doi: 10.1038/nature01131

生態:深海の熱水噴出孔に生息するカニに見られる視覚の適応的な変態

Adaptive visual metamorphosis in a deep-sea hydrothermal vent crab p.68

doi: 10.1038/nature01144

神経:内側前頭前野ニューロンが発する恐怖減衰の記憶信号

Neurons in medial prefrontal cortex signal memory for fear extinction p.70

doi: 10.1038/nature01138

生理:p75はNogo、MAG、OMgpの補助受容体としてNogo受容体と相互作用する

p75 interacts with the Nogo receptor as a co-receptor for Nogo, MAG and OMgp p.74

doi: 10.1038/nature01176

医学:HMG-CoA還元酵素阻害剤であるアトルバスタチンはTh2への偏りを促し、中枢神経系の自己免疫疾患の麻痺を改善する

The HMG-CoA reductase inhibitor, atorvastatin, promotes a Th2 bias and reverses paralysis in central nervous system autoimmune disease p.78

doi: 10.1038/nature01158

生理:テーリンのFERMドメインによるホスファチジルイノシトールリン酸キナーゼ1γ型の動員と制御

Recruitment and regulation of phosphatidylinositol phosphate kinase type 1 by the FERM domain of talin p.85

doi: 10.1038/nature01147

生理:ホスファチジルイノシトールリン酸キナーゼIγ型は焦点接着斑に運ばれ、これを調節する

Type Iγ phosphatidylinositol phosphate kinase targets and regulates focal adhesions p.89

doi: 10.1038/nature01082

細胞:Nbs1は高等脊椎動物の細胞での相同組換えによるDNA修復に不可欠である

Nbs1 is essential for DNA repair by homologous recombination in higher vertebrate cells p.93

doi: 10.1038/nature01125

生化学:マジック角度回転固体NMR分光学によって決定されたタンパク質の構造

Structure of a protein determined by solid-state magic-angle-spinning NMR spectroscopy p.98

doi: 10.1038/nature01070

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