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Nature Human Behaviour に掲載された一次研究論文(Articles および Letters)について、その概要を日本語で紹介しています。

2017年7月

  • Letter: ヨーロッパ人は亡命希望者の比例的な割当を支持する

    Europeans support a proportional allocation of asylum seekers

    doi: 10.1038/s41562-017-0133

    欧州諸国は亡命希望者をどのように分担するべきか? 現行制度では、EU域内に来た難民は最初に入った国で難民申請をすることになっているが、ヨーロッパ人の大半は、各国の受け入れ能力に応じて申請希望者を分担することを支持している。

  • Letter: 注意の限界と質の悪い情報のネット上での拡散

    Limited individual attention and online virality of low-quality information

    doi: 10.1038/s41562-017-0132

    質の悪い情報がネット上で急激に拡散するのはなぜか? ネット上のソーシャル・メデイアのモデルから、情報負荷が高く注意に限界がある現実の状況下では、情報はその質の高低を問わずほぼ等しく拡散する可能性があることが明らかとなった。

  • Letter: 行動学的政策介入を政治と関連づけるのは不適切

    On the misplaced politics of behavioural policy interventions

    doi: 10.1038/s41562-017-0130

    党派的なフレーミングは行動学的政策介入の倫理性の評価に影響を及ぼすが、米国の成人も実際の政策立案者も、党派に関わる情報を除去した「ナッジ」をよく受け入れることが判明した。

  • Letter: 協力関係の腐敗と反腐敗戦略が裏目に出るとき

    Corrupting cooperation and how anti-corruption strategies may backfire

    doi: 10.1038/s41562-017-0138

    腐敗のコスト、原因、解決法をモデル化した実験により、反腐敗戦略がときに逆効果となる場合があることが示された。

  • Letter: 自分の努力で他者を助ける向社会的行動への無関心

    Prosocial apathy for helping others when effort is required

    doi: 10.1038/s41562-017-0131

    ヒトは、報酬が自らのものになる場合と他者に渡る場合に、自分が努力をするか否かをどのように選択するのだろうか?現実的な努力課題と計算モデルを用いた研究から、他者のために働こうとする動機付けは小さいことが判明した。

2017年6月

  • Perspective: 脳の制御と心の制御

    Mind control as a guide for the mind

    doi: 10.1038/s41562-017-0119

    工学の一分野であるネットワーク制御理論は、認知障害の治療や知能の向上のために心の状態を調節する方法の開発に役立つ可能性がある。

  • Letter: テロリストにみられる結果指向の道徳的評価

    Outcome-oriented moral evaluation in terrorists

    doi: 10.1038/s41562-017-0118

    通常、特定の行為が道徳的に許容されるか否かは意図と結果を考え合わせることによって判断されるが、コロンビア人の武装テロリストを対象とした道徳的判断および社会認知プロファイルの評価から、テロリストの道徳律では行為の結果が異常に重視されていることが明らかとなった。

  • Letter: 集団の意思決定における確信度のマッチング

    Confidence matching in group decision-making

    doi: 10.1038/s41562-017-0117

    文化的に異なる状況(英国とイラン)で得られた行動データおよびコンピューターモデルから、2人1組で意思決定を行う際には、互いの意見を結びつけるために確信度のマッチングの経験則が用いられていることがわかった。

  • Letter: 睡眠中の運動記憶固定における2つの強化メカニズム

    Dual enhancement mechanisms for overnight motor memory consolidation

    doi: 10.1038/s41562-017-0111

    運動技能の記憶は睡眠中に固定されて強化される。「オフライン」の記憶改善を支える神経回路は、記憶の獲得様式(暗黙的学習または明示的学習)によって異なることが明らかとなった。

  • Letter: 前期石器時代の道具製作の基盤となる機能的脳内ネットワーク

    The functional brain networks that underlie Early Stone Age tool manufacture

    doi: 10.1038/s41562-017-0102

    アシュール文化の石器製作技術が出現したのは175万年前のことだが、同じ時期に初期人類の認知能力の変化が起きていた可能性がある。機能的近赤外分光法による神経イメージングから、現代人がアシュール石器を製作する際には、ピアノの演奏などにかかわる脳内ネットワークを用いていることがわかった。

  • Article: 覚醒と関連した知覚バイアスの調節は動的環境における知覚を最適化する

    Arousal-related adjustments of perceptual biases optimize perception in dynamic environments

    doi: 10.1038/s41562-017-0107

    事前の予測は知覚にどのような影響を及ぼすのだろうか? このほど、動的環境における知覚バイアスの調節には覚醒が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。覚醒は、予測可能な環境では事前の予測からの知覚バイアスを大きくし、予測不可能な環境では知覚バイアスを小さくしていた。

2017年5月

  • Perspective: ヒトの行動研究と多様性

    Systems of (non-)diversity

    doi: 10.1038/s41562-017-0088

    ヒトの行動研究の目標は、ヒトのあらゆる種類の行動を同定し、理解することにあるが、研究対象、研究手法、研究者の多様性の欠如は、研究の土台を崩壊させる。多様性を欠くシステムは、ヒトの行動研究という科学を危うくする恐れがある。

  • Letter: 気候変動はヒトの身体活動パターンを変える可能性がある

    Climate change may alter human physical activity patterns

    doi: 10.1038/s41562-017-0097

    2002~2012年における米国居住者190万人の身体活動への参加に関するデータを、日々の気温データと組み合わせた結果、このまま温暖化が進んだ場合、将来の身体活動パターンが変化する可能性があることが明らかになった。

  • Letter: 友人の死後におけるソーシャルネットワーク上のつながりの回復

    Connective recovery in social networks after the death of a friend

    doi: 10.1038/s41562-017-0092

    フェイスブック上の15000のネットワークの解析から、インターネット上のソーシャルネットワークは、メンバーの死から立ち直ることが判明し、メンバーの死後に友人間の交流が増加し、何年も安定して続くことがわかった。

  • Letter: 極端な利他主義における社会的割引および社会的距離の認識

    Social discounting and distance perceptions in costly altruism

    doi: 10.1038/s41562-017-0100

    赤の他人を助けるために大きなコストを負担する「極端な利他主義者」は、他人との社会的距離を誤解しているのではなく、遠く隔たった人の幸福を主観的に高く評価していることが明らかになった。

  • Letter: 社会ネットワーク上の位置付けの自発的な神経符号化

    Spontaneous neural encoding of social network position

    doi: 10.1038/s41562-017-0072

    社会ネットワーク解析とfMRIデータのマルチボクセル・パターン解析を組み合わせることにより、ヒトの脳は、ネットワーク内の相手との社会的距離、相手の固有ベクトル中心性、相手がネットワーク構成員間の結びつきをどの程度仲介するかを、自発的に符号化していることが判明した。

  • Article: 幸せな記憶の想起は急性ストレス反応を緩和する

    Reminiscing about positive memories buffers acute stress responses

    doi: 10.1038/s41562-017-0093

    肯定的な内容の記憶の想起は、ストレス反応を和らげるだけでなく、報酬を処理する皮質線条体回路の活性化と相関していることが明らかとなった。幸せな記憶の回想はストレス耐性を高める可能性がある。

  • Article: ヒトにおけるアロスタシスおよび内受容感覚を支える大規模脳システムの存在を示す証拠

    Evidence for a large-scale brain system supporting allostasis and interoception in humans

    doi: 10.1038/s41562-017-0069

    サルおよびヒトで得られたデータの解析から、内受容感覚(体内から湧き起こる感覚)およびアロスタシス(脳が身体内のエネルギー調節を維持するプロセス)を支える脳内システムが見つかった。

2017年4月

2017年3月

  • Review Article: 視覚探索中に注意を誘導する5つの因子

    Five factors that guide attention in visual search

    doi: 10.1038/s41562-017-0058

    ヒトは自分が探しているものをどのようにして見つけているのか? 視覚探索中の注意を誘導する5つの因子について論じる。

  • Letter: インド南部農村地域における社会的支援ネットワークと信仰心

    Social support networks and religiosity in rural South India

    doi: 10.1038/s41562-017-0057

    インドの農村部で収集した詳細な民族誌的データから、向社会的宗教行為をする人は、社会的ネットワークの構成員から向社会的な人と認識される結果、より大きな社会的支援を受けられることが明らかとなった。

  • Letter: ワクチン普及活動において集団免疫について説明するとよい理由

    On the benefits of explaining herd immunity in vaccine advocacy

    doi: 10.1038/s41562-017-0056

    集団的利益を重視する文化圏ではワクチン接種への意欲が高いことが明らかとなった。向社会的傾向の乏しい文化圏では、集団免疫の概念を伝えることがワクチン接種への意欲を高める。

  • Letter: 賢明な熟慮が協力関係を維持する

    Wise deliberation sustains cooperation

    doi: 10.1038/s41562-017-0061

    経済ゲームで熟慮する時間が与えられると、参加者は非協力的になっていく。参加者を第三者的視点に立たせることで、利己的な目的に向かっていた意識を共通の目的に向かわせ、協力関係を維持させることができる。

  • Letter: 身体的相互作用をするパートナーは相手の運動の目的を推定してその運動を促す

    Physically interacting individuals estimate the partner’s goal to enhance their movements

    doi: 10.1038/s41562-017-0054

    2人のヒトが接触を介して運動を学習していくしくみについてのモデルを提案する。このモデルを組み込んだロボットをパートナーにした場合も、参加者は同じように学習することができた。この結果は、身体介助ロボットを開発するうえで重要である。

  • Article: ヒトの意味的知識とその障害の統合モデル

    A unified model of human semantic knowledge and its disorders

    doi: 10.1038/s41562-016-0039

    意味表象については、個別のシステムが多様なものごとを表象するという領域特異的な説明と、あらゆる種類の知識が1つのネットワークにコードされるという領域一般的な説明があるが、この2つを統合する神経基盤モデルが構築された。

  • Article: 脳卒中回復期の行動クラスターと能力の予測因子

    Behavioural clusters and predictors of performance during recovery from stroke

    doi: 10.1038/s41562-016-0038

    脳卒中患者の大規模コホートから12か月にわたって収集したデータから、大半の回復が3か月以内に起こることと、当初の障害の重症度と患者の教育レベルからそれが予測されることが判明した。

2017年2月

  • Review Article: 公正さの発達的基盤

    The developmental foundations of human fairness

    doi: 10.1038/s41562-016-0042

    小児における公正な行動の発達に関する最近の行動学・神経科学的証拠の総合的な検討から、ヒトの公正さを示す特徴は乳児期に現れることがわかった。

  • Letter: 経済的不安定と米国の学校における銃による暴力の増加

    Economic insecurity and the rise in gun violence at US schools

    doi: 10.1038/s41562-016-0040

    1990~2013年の米国の学校における銃による暴力事件を解析した結果、発生率が最も高いのは2007~2013年であったことが判明した。経済危機の諸指標は、銃による暴力の発生件数の増加と有意に相関していた。

  • Letter: 狩猟採取民のネットワークの評価と累積文化への影響

    Characterization of hunter-gatherer networks and implications for cumulative culture

    doi: 10.1038/s41562-016-0043

    狩猟採集民の社会的相互作用を追跡する無線センサーが開発され、コンゴ共和国とフィリピンの狩猟採集民では、血縁関係のない家族間を結びつける少数の強固な友人関係が、より効率的な社会的ネットワークを形作ることが明らかとなった。

  • Letter: 前言語期の乳児は攻撃者から被害者を守る第三者の介入を肯定する

    Preverbal infants affirm third-party interventions that protect victims from aggressors

    doi: 10.1038/s41562-016-0037

    6つの実験から、生後わずか6か月の乳児が、攻撃者から被害者を守る第三者の介入を肯定することが明らかとなった。ヒトはこうした行為を重視するが、今回の実験は、前言語期の乳児の心にまでその起源を辿れることを示唆している。

  • Letter: ヒト連合野における数量性に関する神経地図のネットワーク

    A network of topographic numerosity maps in human association cortex

    doi: 10.1038/s41562-016-0036

    超高磁場機能的磁気共鳴画像法を用いてヒトの脳を調べたところ、連合野内の大きく離れた6か所に数量性(集合中のものの数の知覚)をコードする神経地図が見つかった。

  • Article: 知覚学習はヒトの意思決定における知覚後処理を変える

    Perceptual learning alters post-sensory processing in human decision-making

    doi: 10.1038/s41562-016-0035

    知覚学習課題の訓練後にヒトの知覚感受性が改善するのは、初期の知覚情報処理が速くなるからではなく、知覚後の後期の意思決定処理が速くなるからであることが明らかとなった。

2017年1月

  • Perspective: 社会科学は結果主義になるべきか?

    Should social science be more solution-oriented?

    doi: 10.1038/s41562-016-0015

    Duncan Wattsは、社会科学の諸分野が具体的で扱いやすい実社会の問題を研究目的とすることの利点について考察し、解決策を重視する社会科学の例を挙げ、その有効性を論じる。

  • Perspective: 「再現可能な科学」のためのマニフェスト OPEN

    A manifesto for reproducible science

    doi: 10.1038/s41562-016-0021

    再現性をめぐる議論をリードする研究者たちは、科学的プロセスの鍵となる要素を最適化できるような方策の採用を求めている。

  • Letter: 都市現象の発生頻度、スケーリング、差異を説明する

    Explaining the prevalence, scaling and variance of urban phenomena

    doi: 10.1038/s41562-016-0012

    Gomez-Lievanoらは、経済複雑性と文化進化のモデルを統合することにより、学歴の分布や犯罪の発生率などの都市現象が人口規模に伴ってどのように変化するかという「都市のスケーリング」の新たな理論を提唱する。

  • Letter: ヒトにおける同類婚の遺伝学的証拠

    Genetic evidence of assortative mating in humans

    doi: 10.1038/s41562-016-0016

    一塩基多型の全ゲノムデータおよび全ゲノム関連解析の結果を用いた研究により、ヒトが自分と似た表現型形質をもつ相手との結婚を好むことには遺伝学的な原因と結果があることが明らかとなった。

2016年12月

  • Article: 成人後に経済的負担となる少人数の集団を小児期に予測する

    Childhood forecasting of a small segment of the population with large economic burden

    doi: 10.1038/s41562-016-0005

    40年におよぶ出生コホート研究から得られたデータを複数の行政データベースと結びつけることで、人口の20%が経済的負担の約80%の原因となることが明らかとなった。注目すべきは、この集団が3歳の時点から高い精度で予想できることである。

  • Letter: 視覚空間の知覚を調節する注意

    Attention modulates perception of visual space

    doi: 10.1038/s41562-016-0004

    3次元空間内での視覚による定位のアンカリングに注意が重要な役割を果たすことが明らかになった。注意の効果が、見えている地面に左右されるという発見は、陸上生物であるヒトの視覚系が、その生態学的ニッチによって支えられていることを示唆する。

  • Letter: 音楽の進化の実験から見えてきたリズムの普遍性

    Musical evolution in the lab exhibits rhythmic universals

    doi: 10.1038/s41562-016-0007

    ランダムに生成したドラム音のシークエンスを実験参加者が耳で聞いて真似し、次の人に伝えていく実験から、ランダムなシークエンスが、ワールドミュージックにみられる6つの統計的な普遍的特性を備えた、リズミカルに構造化されたパターンへと変換されていくことが明らかになった。

2016年11月

  • Article: 確信の明示的表現は将来の価値に基づく意思決定のための情報になる

    Explicit representation of confidence informs future value-based decisions

    doi: 10.1038/s41562-016-0002

    人間は選択を行うたびに、その選択に対する確信の明示的表現を保持している。視線追跡および行動測定の結果、意思決定に対する確信のなさを追跡することが将来の行動を導くのに役立つことがわかった。

  • Letter: 恐怖対象への意識的な暴露を伴わない脳活動の強化学習による恐怖反応緩和

    Fear reduction without fear through reinforcement of neural activity that bypasses conscious exposure

    doi: 10.1038/s41562-016-0006

    国際電気通信基礎技術研究所および情報通信研究機構の小泉愛研究員たちのグループは、恐怖条件付けされた刺激を表す視覚野の活動パターンを報酬と結び付けることで、恐怖対象を明示せずに、参加者に恐怖対象を見せたり、訓練の目的を気づかせることなく、恐怖反応を緩和できることを報告している。

  • Letter: 顔の評価は統計的学習により形成される

    Statistical learning shapes face evaluation

    doi: 10.1038/s41562-016-0001

    あらゆる顔は、環境中から抽出される顔の統計分布中に位置づけられる。顔にもとづく社会的推論(例えば、信用できそうな顔)は、この学習された分布中の統計的な位置から生じている。

  • Letter: 病原体の蔓延度は男女平等の文化的変化と関連する

    Pathogen prevalence is associated with cultural changes in gender equality

    doi: 10.1038/s41562-016-0003

    米国および英国における過去数十年間の病原体蔓延度の低下は、男女不平等の緩和と関連している。感染症の有病率の低下は男女不平等の緩和に先立って生じるため、両者の間には因果関係があることが示唆される。

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