完全な地震サイクルの間の島の隆起と沈降
Nature Geoscience
2015年6月23日
1835年と2010年に発生した2回の大地震後およびその間の175年間に、チリ中央部の海岸沖にある島が示した上下方向の動きについての報告が、今週のオンライン版に掲載される。用いられたデータには、1835年にチャールズ・ダーウィンのビーグル号航海でRobert FitzRoy艦長が得た記録が含まれており、地震が引き起こした隆起の10~20%は永久変位となったことが示唆されている。
2つのテクトニック・プレートが固着している間、ひずみは数10年から数世紀の間蓄積される。この蓄積されたひずみは地震の時にプレートが互いに滑ることで急激に解放される。地球の表面は、このような周期的現象の間、隆起と沈降を繰り返すと考えられている。
Robert Wessonたちは、1804年、1835年、および1886年に行われた船上探査を最新の探査とGPSデータと共に解析し、二つの地震の間の完全なサイクルの間にイスラ・サンタ・マリア島が上下方向に動いた量を定量的に求めた。その結果、この島は1835年の地震の後に2.4mから3m隆起し、2010年の地震の後には1.8m隆起したが、その間の期間には1.4mしか沈降しなかったことが見いだされた。彼らはまた、2つの地震の間の沈降は予想に反して一様な速度では起きなかったと述べている。
関連するNews&Viewsの記事でAron Meltznerは、著者たちの方法が「断層で起きるべく待っているすべり量を定量化し、発生が差し迫っていると考えられている大地震に対して有効な道具となり得る」と述べている。
doi:10.1038/ngeo2468
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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