【材料科学】リチウムイオン電池の過熱を深く調べる
Nature Communications
2015年4月29日
リチウムイオン電池の過熱による故障の過程が初めて記録されたという報告が、今週掲載される。熱発生率が熱損失率を上回ると熱暴走が起こるのだが、リチウムイオン電池は熱暴走を起こしやすい。電池の故障はまれにしか起こらないが、熱暴走の防止は、リチウムイオン電池の安全な動作にとって最大の課題の1つとなっている。
今回、Paul Shearingたちは、2種類の市販のリチウムイオン電池(セル1とセル2)を外部から加熱し、熱画像法と非侵襲的高速度イメージングを用いて、内部構造を観察した。セル1は、故障を起こしても元の外形を保ち、発熱反応は完了した。その結果、電池の通気孔から最初は高温ガス、次いで溶解物質が噴出した。セル1内部の銅材料は溶けてしまっており、内部温度が摂氏1,085度以上に達したことを示している。セル2の場合には、内圧が急上昇してキャップ全体が外れた。現実の状況下でこれが起これば、電池内に酸素が流れ込み、熱暴走が加速する可能性がある。
今回の研究では、セル1とセル2の内部における熱反応と電気化学反応によってガスポケットが生じ、らせん状に巻かれたセル層が変形したことが明らかになった。セル2は、内部構造が著しく歪んでしまっており、Shearingたちは、それによって電池の安全性が損なわれたと考えている。セル1は、セル2とは異なり、その中心に円筒形の支持体が設計されており、これが完全な構造を維持する上で役立ったと考えられている。Shearingたちは、今回の熱暴走に対するセル層の応答の観察結果からリチウムイオン電池の設計とその安全機能が改善されることを期待している。
doi:10.1038/ncomms7924
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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