Research Press Release

透明人間になるってどんな感じ?

Scientific Reports

2015年4月23日

Neuroscience: What is it like to be invisible?

「透明人間」を体験すると、社会的ストレスを受ける状況(例えば、大勢の観客の前に立たされること)によって生じる不安(社会不安)が通常の場合より軽減されることを示唆する研究論文が、今週掲載される。今回の研究では、被験者の身体が見えなくなる状態の実験モデルが作成され、被験者が「透明人間」を体験すると身体的自己知覚と社会的認知に影響を受けることが明らかになった。

クローキングデバイス(遮蔽装置)の研究が最近になって進んだことで、人体の不可視化クローキングが将来実現するのではないかと取り沙汰されているが、こうした不可視化で身体の知覚と認知的反応がどのように変わるのかという疑問も生じている。この疑問に取り組むため、Arvid Guterstamたちは125人のボランティアを集め、仮想現実を利用して、身体が見えなくなるという錯覚を生み出す実験を行った。被験者にはヘッドマウントディスプレイを着用させ、下を向いて自分の身体を見ようとすると何もない空間が見えるようにした。次に、実験を行った研究者がペンキ用刷毛を使って被験者の身体を撫でた。その際、ヘッドマウントディスプレイを着用した被験者には、何もない空間で被験者の身体に対応する箇所を刷毛が移動する様子が見えていた。この被験者は、中身のない透明な身体になった感じがしたと報告しており、透明人間の錯覚が生み出されていたことが示された。

次に、被験者は、社会的ストレスのかかる仮想状況(見知らぬ人の集団の前に立つこと)におかれた。透明人間の錯覚を体験した被験者は、ヘッドマウントディスプレイ着用時に自分ではなく他人の身体の画像を見ていた被験者と比べて、心拍数が少なく、主観的なストレス度が低かった。

doi:10.1038/srep09831

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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