Research Press Release

黒穂病に対するトウモロコシの抵抗性に寄与するZmWAK遺伝子

Nature Genetics

2014年12月23日

トウモロコシが黒穂病に抵抗性を備える上で役立つ遺伝子についての報告が、今週のオンライン版に掲載される。黒穂病は、真菌類のSporisorium reilianumを原因とするトウモロコシの病気だ。黒穂病が大発生すると、トウモロコシの収量が大きく減少しかねない。

今回、Mingliang Xuたちは、トウモロコシの黒穂病に対する抵抗性をもたらす遺伝子としてZmWAK遺伝子を同定した。黒穂病真菌類は、発芽したトウモロコシに感染するために、中胚軸を通り抜ける必要がある。中胚軸は、ZmWAK遺伝子が高いレベルで発現し、黒穂病真菌類に対する防衛線として作用している可能性が高い。この遺伝子によって産生されるタンパク質は、細胞の外部から内部へシグナルを伝達するタンパク質のファミリーに属しており、黒穂病に対する宿主の防御応答が誘発される際にZmWAK遺伝子が関係している可能性が示唆されている。

Xuたちは、ZmWAK遺伝子の役割を確かめるため、機能するZmWAK遺伝子を持っておらず黒穂病にかかりやすいトウモロコシにZmWAK遺伝子を人工的に導入した。この遺伝子組み換えトウモロコシは、ZmWAK遺伝子を発現しないトウモロコシと比べて、黒穂病の感染率が26.5~42.8%低かった。この研究結果は、黒穂病に強いトウモロコシの育種に役立つ可能性がある。

doi:10.1038/ng.3170

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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