【太陽エネルギー】ブルーレイ映像ディスクを利用した太陽電池の効率向上
Nature Communications
2014年11月26日
ブルーレイ映像ディスクを転用することで、太陽電池の効率を向上させるテンプレートの作製が可能になるという報告が、今週掲載される。この研究で利用されたのが、ブルーレイ映像ディスクに存在する準ランダムなナノ構造(ランドとピットのランダムな配列を論理的順序で反復したもの)で、ほぼ最適に近い光閉じ込め用途に適している。
自然界の数多くの生物は、準ランダムなナノ構造を利用して、光の操作を行うが、こうした構造の重要性が認識され、工学用途に検討され始めたのはごく最近のことだ。しかし、こうした準ランダムなパターンの作製コストが一般に高く、広範な応用にとっての障害となっている。
今回、Jiaxing Huangたちは、ブルーレイ映像ディスクにデータを保存するために作られたパターンの中に、光子管理に適した準ランダムなナノ構造があることを発見した。そして、このナノ構造は、ディスクに記憶された情報のいかんにかかわらず、太陽スペクトル全体にわたる光の吸収と操作に適していることも明らかになった。そして、この点を検証するために、Huangたちは、ポリマー太陽電池のテンプレートとして映画『ポリスストーリー3』のブルーレイディスクを用いた。それによって作製された準ランダムなナノパターンを有する太陽電池は、そうでない太陽電池と比べ、太陽スペクトル全体にわたって光吸収と電力変換効率が高かった。
ブルーレイディスクの製造はすでに量産に対応しているため、今回の研究で得られた知見は、太陽電池やその他のフォトニックデバイスの性能向上に利用できる光子管理デバイスと光閉じ込めデバイスを高い費用効果で作製するための方法につながる可能性がある。
doi:10.1038/ncomms6517
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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